自分の中で「企業選びの基準」を定めることは、これから就職活動を行う大学生にとって非常に大事です。
基準をきちんと設けることでミスマッチをなくし、本当に自分の志向に合った志望先を見つけることができます。また、自分の考えを整理することで、志望動機が明確になるため面接でのパフォーマンスも向上するでしょう。
また、これから採用活動を行う企業としても、学生たちがどのような基準で企業選びをしているのかを把握することが大事です。
就活生が魅力的だと感じる情報があるにも関わらず、企業選びの風潮を理解しておらず、クリティカルな情報を発信できないと、費用対効果は小さくなってしまうでしょう。
就職活動における企業選びのポイント
【1.職種】
・やりたい仕事ができる
【2.待遇 / 勤務条件】
・給料が良い
・福利厚生が良い
・ワークライフバランスがとれる
・会社や勤務場所の立地が良い
【3.安定性 / 知名度】
・業績が安定している
・業界・企業の将来性がある
・企業の知名度が高い
【4.社風】
・会社の雰囲気や価値観が合う
・社長や社員の人柄が良い
【5.社会性】
・社会に貢献できる
・SDGsやLGBTに対する取り組みが活発
当サイトの編集部では、企業選びの基準を独自の5つの軸に分けて考えています。以下は、実際に全国の大学生455人に企業選びの基準に関するアンケートを行った結果です。

アンケート調査では「やりたい仕事ができる」「社長や社員の人柄が良い」「ワークライフバランスがとれる」などを重視する学生が多いことがわかっています。
以下で、それぞれの項目について1つ1つ解説をしますが、まずは企業選びの基準が、従来の「企業の大きさ」や「給料」ではなく、居心地の良さであったり、プライベートとのバランス、興味関心など、若年層世代ならではのものに変化していることを理解しておきましょう。
1.職種による企業選び
どのような職種がある企業にするのかは、企業選びの大きな基準となります。現在、興味関心がある業界や職種だけではなく、将来的な自分自身のキャリアパスを考えた時に、新卒でどの職種に就くかは重要な分岐点となります。手に職が欲しいのか、社外での繋がりを作りたいのか、プロジェクトを回す調整力を養いたいのか。どんな将来を描くかによって新卒で身につけるべき能力も変わってきます。
個人の興味関心は企業側がコントロールできませんが、自社の理念であったり、行っている事業、具体的な業務まで、なるべく詳細な情報を発信することや、過去に新卒入社した人のキャリアパスを紹介することなどで、ミスマッチを防いだり、面接担当者の工数を減らすことができます。
2.待遇や勤務条件による企業選び
若年層(Z世代)は自分の興味関心がある仕事に就くことを重視しますが、そのうえで給料や福利厚生といった待遇面・働き方も企業選びの大きな判断材料としています。
給料の良さ
給料の良さについては、若年層でも企業選びの大きな軸となっています。採用情報ページなどに掲載されている初任給は判断材料になりますが、学生たちはどの企業も初任給は20万円そこそこであり、大きな差はないことを理解しています。
そのため、OB訪問やWebサイトなどで、数年先の平均年収を調べるようにしています。
当サイトが行った「35歳になったときの希望年収」のアンケート調査では、「500〜700万円」と「700〜1,000万円」という意見が同率1位となりました。

あくまで理想の金額であるため、絶対に上記の金額を満たさなけらばならないわけでは、ありあませんが、採用プロモーションをするうえで給料面のアピールをするのであれば、「大学生が満足し魅力を感じるライン」を把握していくことは重要です。
また、当然高ければ高いほど良いと思われがちな年収ですが、近年では年収にこだわらない学生も少なくないことが伺えます。
福利厚生の良さ
福利厚生の良さも近年、重要視されています。
福利厚生が良い=企業が社員やその家族を大切にしていると判断されており、ホワイトな企業であるかどうかを見極める1つの軸としても考えられています。
ワークライフバランス/働き方
若年層世代の特徴に「多様性を重視し、自分や人の価値観が尊重されあう関係を求めること」や「プライベートを重視し、すべてを仕事に捧げることを嫌うこと」などがあります。
そのため、企業選びではプライベートとのバランスを保てる、柔軟な働き方ができるのかどうかが重視されています。「どのような働き方ができる会社に魅力を感じますか?」というアンケートの結果は以下のようになりました。

とくに、「フレックス制や時間有給で働くことができる」や「リモートワーク・遠隔地勤務が可能であること」を理想の条件とする就活生が多く見受けられました。

さらに「出社の頻度はどれくらいが望ましいですか?」という質問では、週2〜3回の出社が好ましいと回答する方が圧倒的に多かったため、リモートワーク可能であることをアピールするのであれば、上記の回数が目安となるでしょう。
会社や勤務場所の立地の良さ
大きな軸にはなりにくいですが、「駅からの近さ」であったり、「オフィスのキレイさ」「オフィスビルのグレード」なども比較項目にはなるでしょう。利便性や清潔感、見栄えなどもアピールポイントの1つとなります。
また、地方学生にとっては都心に出ることのハードルは非常に高いです。住宅手当が充実していることなどをアピールできれば、距離を理由に優秀な人材を逃してしまうことは避けられるでしょう。
3.安定性や知名度による企業選び
現在の学生たちは、ワークライフバランスや自分の興味関心を重視しており、中小企業にもスポットライトが当たりやすい時代になっています。しかし、それでも同じ業務内容であれば安定性があり、なおかつ待遇の良い大企業を選びたいと大学生たちは考えています。
業界・企業の将来性
新型コロナウイルスの影響を受け、観光業や飲食店のつらい状況を目の当たりにしている現代の学生は、業界・企業の将来性を企業選びの際に考えるようにしています。
有事の際も影響を受けづらい業界であるか、また影響を受けたとしても柔軟に対応し、ビジネスを停滞させることがなかったかなどが大きなアピールポイントとなるでしょう。
業績の安定性
いかに、業界の将来性があったとしても、その企業の業績が安定してなければ就活生たちは振り向いてくれないでしょう。
現代の若者は、安定志向である傾向が強いです。リサーチ力が高い学生であれば、有価証券報告書などを参考に売上高やキャッシュフローを調べることもあるでしょう。
財務内容をどこまで公開するかは、企業によるところが大きいですが、安定的に業績を伸ばすことができている企業であれば、その情報は就活生にとって非常に魅力的となります。
企業の規模・大きさ・知名度
当サイトが行った「企業の規模」に関するアンケートでは、「やりたい仕事ができるならば大企業がよい」という回答が大きな割合を占めました。
とはいえ、「やりたい仕事ができるならば中堅・中小企業でもよい」と回答する大学生も多く、魅力的な条件が揃っていれば、中小企業でも優秀な人材を十分に集めることができると考えられます。
以下では、大企業、中小企業、スタートアップ企業、それぞれの魅力を深堀りして質問しています。



自社の規模感と学生たちが大きな魅力であると考えるポイントを理解したうえで、採用プロモーションを行うことができれば、その効果は大きくなるでしょう。
4.社風による企業選び
自分のやりたいことができ、待遇が良く、安定した企業であっても、会社内の人間関係がギスギスしていたり、方針や価値観が合わなければ、就活の選択肢から外れてしまうでしょう。
今回、実施したアンケート調査では大きな割合を占めた項目なので、より優先的な対応が求められます。
会社の雰囲気や価値観が合うか
会社の雰囲気・価値観とは例えば、以下のようなことが挙げられます。
- チームでの仕事が多いか、個人でも仕事が多いか
- 実力主義か年功序列か
- プログレッシブかコンサバティブか
- 商品やお客さんに対する考え方
- 体育会系か
求人情報だけでは、社風や価値観については上手く伝えることができず、早期離職の原因になりやすいです。
OB・OG訪問の機会を増やしたり、会社内の雰囲気を動画で伝えたり、インターンを開始するなど、様々な方法での対策が求められます。
社長や社員の人柄の良さ
会社全体の雰囲気だけでなく、社長や直属の上司・配属される部署の社員たち、個人個人の人柄の良さは、大きなアピールポイントになります。
社長や名物社員の露出が多い企業はいくつかありますが、実際に働く部署の社員たちの雰囲気まで詳細に伝えることができれば、応募ハードルを下げ、優秀な社員を集めやすい仕組みを作ることができるでしょう。
5.社会性による企業選び
会社の事業が「社会貢献につながるかどうか」という視点も、SDGsなどの考え方が広まったことで、近年重視されています。
社会に貢献できるか
昭和から平成初期までは、売上や利益を上げることが大事だという風潮が蔓延していましたが、近年は企業は社会的責任を果たすべきであるという考えが浸透しています。
現代を生きる若者世代は、とくにこの考えが浸透しており、単純なお金儲けではなく社会づくりに貢献できる仕事がしたいという意識を持っている学生が増えています。
企業理念やビジネスモデルなどが「社会貢献度」を判断する要素として使用されるため、コーポレートサイトの情報を充実させることやメディア露出を強化することなどが主な対策内容となるでしょう。
SDGsやLGBTに対する取り組みが活発か
若者世代(Z世代)は社会問題に対する関心が非常に高いです。
90年代後半から2000年代初期に生まれ、就職活動をしている大学生たちは、現在に至るまで「環境問題」や「食料問題」「教育問題」などの近代の社会問題を子供のころから、身近に感じてきたことが影響しているでしょう。
そのため、多様性を認めている企業やSDGsに対する理解が深い企業に将来性を感じています。企業で社会問題に対する先進的な取り組みを行っているのであれば、大きなアピールポイントとなるでしょう。
コロナによる、就職活動における企業選びの変化

大学生を対象に行ったアンケート調査で、新型コロナの影響を受け、およそ2人に1人の企業選びの基準や理想の働き方が変わっていることがわかりました。
・業界の安定性を意識するようになった
・将来性(ITやDX)を重視するようになった
・食品業界に志望が変化した
・変化に柔軟な会社を希望するようになった
・医療従事者を目指すようになった
・オンライン面接が増えた
・競争率が上がったように思える
・やりたい業種の新卒募集が減った(していない)
・留学できず、語学を使った職を選べなくなった
・リモートワークできる会社かどうかが選定基準に入った
・実家との行き来がしやすい勤務地を希望するようになった
・都会だけでなく田舎での就職も視野に入れるようになった
・自分の時間を大切にしたいと思った
・副業も視野に入れるようになった
具体的な回答結果は上記の通りです。採用活動を行い、優秀な人材を確保するためには、Withコロナにおける就活生の考えを理解する必要があります。志向の変化に合わせた採用プロモーションであったり、コロナ影響で困ったことを解決できるような新たな選考を行うことが求められます。
以上、大学生の就職活動における企業の選び方について解説しました。ガクセイ協賛は、大学生の意識調査などを全国600大学の学生にアンケートを行なっております。商品やサービスのアンケート、就活やバイトアンケートなど、大学生へのアンケート調査をご希望の方はご相談ください。