本記事では「就活生が情報収集に使っているツール・サービス」に関するアンケート調査をしました。調査概要と質問項目は以下の通りです。
調査対象:全国、ガクセイ協賛に登録する約800の学校の学生
調査方法:インターネット調査
対象者数:就活を開始している4年制・短期大学・専門学校を含む学生412名
対象属性:女性261人、男性143人、性別未回答8人
Q1.現在の就活の状況を選択してください(n=412)
Q2.どのような手法で企業探しを行っていますか?行いましたか?(n=412)
Q3.実際に応募する企業を探す上で、その中で一番役に立ったと感じる手法を教えてください(n=412)
Q4.なぜ、その手法が役に立ったのか理由を教えてください(n=412)
Q5.企業に興味を持つ(持った)ポイントを教えてください(n=412)
Q6.こういったツールがあれば使いたい(使いたかった)という要望があればお答えください
就活生の8月時点での進捗状況
上記は、既に就活を開始している学生412名に現在の進捗状況を調査したグラフです。8月時点では就活を開始している方の中でも情報収集段階の生徒が多く、今まさに多様なツール・サービス・媒体を使って企業探しをしている最中であるようです。
以下では、就活を開始していると回答した学生に質問を絞って、どのようなツール・サービス・媒体を使っているのかを深堀りしています。
就活生が情報収集(企業探し)に使っているツール・サービス
就活生にとって最もポピュラーな就活ツールは、やはり「就活情報サイト」のようです。以下では、1つ1つの項目の概要や得られる情報について触れています。
1.就活情報サイト【71%】
就活情報サイトでは、業界解説、適性検査、就活の基礎知識などの初歩的な情報から、企業情報、求人情報などの情報までをある程度網羅的に集めることができるため、多くの就活生に利用されています。
就活の始め方から知りたいという方は、まとめられたコンテンツを読み進め知識をつけることできます。また、興味のある会社がまだないという方は、サイト内の検索ツールをつかって業界や仕事内容、地域などから企業名を知ることもできます。
さらに、ある程度絞り込みができる方は企業ごとのページから説明会やインターンシップにエントリーすることもでき、ある程度の工程をサイト1つで完結させることができます。
ただし、ほとんどの就活情報サイトは有料掲載であるため、サイトによって掲載されている会社と掲載されていない会社が存在します。そのため、学生も複数サイトに登録することはありますが、どの就活情報サイトをメインで利用するかは、人それぞれになります。
2.企業のHP【41%】
企業のホームページ(採用サイト)では、その企業のより詳細な募集情報を得ることができます。作り込み次第ですが、就活情報サイトに出していない情報が手に入ることもあります。企業の名前を知らないと企業HPにたどり着きませんが、就活情報サイトだけでは見えない会社の情報をチェックするために気になる企業の公式HPは見ているようです。
就活に関する採用ページだけではなく、IR(投資家や株主など資金を提供してくれる方に向けて出す自社の情報)から、企業の方向性確認して自分のやりたいことと照らし合わせたり、ブログページや人物の紹介ページから社内の雰囲気や、社員の人柄を読み取ることもしています。具体的に選考に進んでいる学生の54%は企業HPを活用しています。
3.企業説明会【27%】
企業説明会では、1つの企業に絞ってよりリアルな情報を集めることができます。上述したWEB媒体と違い、対面で話が聞けたり質問をすることができる点が最大の特徴です。企業探しの段階で活用する学生よりも、具体的に選考に進む段階で使う学生が多いでしょう。
企業説明会に訪れる学生は、既に一定の興味を持っていて、応募するかどうかの最終判断をしている学生が多くいます。また、応募前の段階で良い学生を見つけて、企業からアプローチすることもできます。
企業説明会からインターンシップ、選考といった流れもあり、自社をよく知った上で応募してくる熱意ある学生の入り口にもなります。自社への熱意がある学生は離職率が低い・目的遂行のために考えうるすべての手段を使えるなど、企業目線でこうした学生を採用するメリットがあるといえます。
4.インターンシップ【24%】
インターンシップは、上述後述する手段の中で唯一実際に働いてみることできる方法です。文章や言葉で得られる情報とは違った情報を、感覚的に得られるでしょう。企業探しのためにインターンシップを入り口にしている学生は、選考に進む前の学生に多く見られました。
インターンシップにはセミナー型やプロジェクト型、就業型(アサイン型)などいくつか種類があるため、目的や内容を照らし合わせて参加する必要があります。
インターンシップに関する関連記事はこちら
▶インターンシップの実施にかかる費用、相場を徹底解説
▶インターンシップの集客方法!応募者を増やすための施策を解説
5.企業SNS【21%】
現代では就活情報の収集にSNSを活用する学生も多いです。企業目線としては、ホームページの発注やサイトへの掲載を外部に依頼しなくていい方法なのでコストが抑えられる、またメッセージ機能やコメント機能などから就活生とやりとりできる点がメリットにあります。
情報サイトやホームページを使わずSNSを中心に情報発信を行う企業もあるため、気になる企業のSNSをチェックしている学生も増えています。また、SNSから先に情報解禁をする企業もあるため鮮度の高い情報を仕入れたい学生もSNSでの情報収集はしておくべきです。
リクルート情報をSNSで集めているとアカウントがパーソナライズされていき、同系統の企業の情報や、先輩たちの声など就活に関する情報が自然と集まるのもSNSの特徴の1つで、企業探しに活用される理由にもなっています。
一方で、継続性が保てない企業も多く、コンセプトと担当者を決め、更新することをきっちり業務に取り入れる必要があります。
6.求人アプリ【19%】
求人アプリ・就活アプリでできることは、ほとんど就活サイトと変わりありません。同じサービスがアプリ版を出してるケースも多いです。
唯一、違いとしてはインターン探し・OBOG訪問・テスト対策など初期、中期、後期など就活のステージに応じた特化型のアプリがあることです。明確な目的がある場合は、こうしたアプリをダウンロードするケースもあるようです。
7.合同セミナー【18%】
合同セミナーは、大学生向けに企業に必要なスキル・知識を教えてくれるイベントです。就職活動の始め方や自己分析、業界研究の仕方・企業研究の仕方、エントリーシートの書き方、面接の対策方法など基礎知識を習得することができます。そのため、具体的に就職活動を進めている学生の多くが活用しています。
大学のキャリア支援センターや、就活関連の企業などが主催することが多く、他大学の開催でも所属大学を問わず参加できるケースもあるため、就活の一歩目として参加しやすいのが特徴です。ただし、大規模な合同セミナーは中心都市でしか開催されないため、地方学生は特に参加するための時間と交通費(宿泊費)がネックになってしまうようです。
8.企業動画【12%】
SNSの例も同様、就活情報収集は多様化しており、最近では企業から投稿される動画コンテンツを参考にする大学生も少なくありません。
「仕事の様子」や「先輩の話」など、本来インターンに参加したり、OB・OG訪問の約束を取り付けないと得られない情報が手に入ることが人気のポイントのようです。
昨今、どの企業も人材不足に悩んでおり、就活生の手間を省くための創意工夫がなされています。就活生目線で考えると、合同セミナーにも記載したとおり、就活にかける時間と費用は軽視できません。取り入れている企業が徐々に増えてきていますが、企業説明会、インターン、OB・OG訪問、合同説明会の代替として企業動画を活用したい学生は増えてくるでしょう。
9.知人友人紹介【12%】
知人友人も立派な情報収集の手段の1つです。誰かが体験した情報・人づての情報はそれだけ解像度が高いです。横の関係や縦の関係を築いておくことも就活を有利に進めるためには必要です。
新卒採用では少しレアではありますが、先に就職した先輩・知人・友人からの紹介採用(リファラル採用)で内定を得られるケースもあります。
10.OB・OG訪問【11%】
OB・OG訪問は、興味のある業界や企業で働いている先輩を訪ねて、質問をする活動のことです。質問は、実際の仕事内容や社内の雰囲気など「業界研究・企業研究」としての内容や、面接で聞かれたことなど「特定の企業の対策」に関するものが一般的です。
上述した通り、OB・OG訪問を検索できるアプリなど現代は連絡やり取りのハードルがグッと下がっているため、今の学生にも人気の情報収集方法のようです。
便利だと感じた就活ツール・サービス
就活の企業探しにおいて、使ったことがあるサービス・ツールと、役に立ったサービス・ツールとではやや乖離があります。
企業探しは就職活動の入り口であり、まず企業を知ることにあります。良さそうな企業を知った後に、応募するかどうか深掘りして判断します。いろいろなツールや手法を用いて企業探しを行いますが、企業を深掘りするためのツールも含まれており、「企業を知る」ということに初動において上記が有効と判断されたようです。
違いがより顕著に現れたのは、企業のHPです。就活生としては、しっかりと企業サイトまで見に行く方が多いようですが、企業名を知らないと見にいくことはありません。また、網羅的に情報を見ることはできないので、「企業探し」という点では、一番役に立ったとはされなかったのでしょう。
一方で、ホームページが見にくい、情報が古い、更新性がない、UIが悪いなどの要因から役に立たなかったと感じてしまうケースも一定数あるようです。
そのほかに、パーセンテージに差があったのは企業説明会とインターンシップです。これらも、企業名を知った後に深掘りするための手法です。そのため、「企業探し」という点では一番に選ばない人が多かったのでしょう。
また、企画が練れていなかったケースや、進行がうまくいかなったケースなど要因はいくつか考えられます。ホームページと違い実際に学生も時間を使ってアクションをするため、役に立つ情報を得られていないと、企業に対するイメージは悪くなってしまうこともあります。
就活生が便利だと思う就活ツール・サービスとは?
具体的に、就活の情報収集の段階において大学生が便利だと感じる項目は情報の網羅性の高さ、正確さであるようです。
とくに、上述したホームページ・説明会・インターンにおいては、ページを細かく用意しておく、更新日時を表記する、タイトルに年度を入れる、質疑応答を広くとって幅広い需要に答える、学生アンケートで実施してほしい内容を調査する…など、網羅性や正確さに関する質を高めるためのアクションが必要でしょう。
また、深掘りする段階で今後必要になってくるのは、学生の就活における時間と費用を抑えられる企業動画になりそうです。上記のポイントを押さえておくと良いでしょう。
就活ツール・サービスで大学生は何を知りたいのか
大学生がこれから働く会社を決めるにあたって、重要な要素が何かを質問しました。集計した結果として、就活ツール・サービスを通じて最も価値が高い情報は「給料や待遇」に関する情報でした。
次いで、職場環境や社風、社員の人柄や関係性についての情報への興味関心が高いようです。
お金に対して現実的な考えを持っており、個人のワークライフバランスを重視する若年層特有の考えが顕著に現れてます。業界内の立ち位置や大手であるかどうか、ブランド力などは昔に比べると重視されない傾向となっているようです。
最適な媒体での情報発信に加えて、これらの情報をわかりやすく・見つけやすく発信していくことが、人材確保をするために重要となります。
就活をするうえで、あったら便利だと感じるツール・情報
最後に、「こういったツールがあれば使いたい(使いたかった)という要望があればお答えください」という質問をした結果をまとめています。就活を始めたばかりの学生もいるため、既に一般化されているツールも含まれています。
検索ツール |
---|
文系・理系別検索機能 |
年収を軸とした検索ができるサイト |
大手だけでなく中小も網羅している検索ツール |
興味のない企業とその関連をはぶく機能 |
比較ツール |
業界内の企業比較ツール |
大手だけでなく中小も網羅している比較ツール |
給与と休暇などの比較ができるツール |
自分の適性や志向性に基づいた機能 |
AIによる適職診断など |
適性に基づく企業選別ツール |
適性に基づく逆オファー機能 |
業務適性度をはかる検査アプリ |
企業の人とのコミュニケーション強化 |
人事と繋がれるツール |
企業の社員とのコミュニケーションとれるツール |
就活生が現社員に質問ができるシステム |
社員の匿名の声を聞けるツール(本音が聞ける) |
OG・OBと繋がるツール |
就活生同士の情報交換 |
内定者の声が聞けるツール |
自分と似た志望先の就活生の意見が聞けるツール |
オンラインでのやり取りや情報取得 |
人事の人やコンサルタントにオンライン相談できるツール |
オンライン面接 |
動画紹介 |
いつでも見れる会社説明の動画 |
5分以内などショート動画 |
社内の様子を撮影(見学感覚で見れる) |
実際の社員の方の業務が見れる動画 |
インターンシップ |
中小企業も含めて業界のインターンや締切日を網羅したサイト |
エントリーシート |
ESの自動添削ツール |
管理ツール |
自分の選考中の会社やインターンの応募状況をまとめて管理できるツール |
エントリーシートの締切日など日程管理できるツール |
その他 |
退職した人と現職の人の実際の声を同時に比較したい |
知り合いのみが情報を共有することができるクローズな就活アプリ |
就活生にアンケートをとって質問に答える機能 |
マッチングアプリのように企業とマッチングできるようなツール |
持っておくべきスキルや資格で職種を分類されたサイト |
現代の就活生はより、マッチング度合いが高い企業を探すことができる就活ツール・情報を求めています。
方向性としては「効率を高めるためのもの」と「リアルな情報を知るためのもの」の2つがあり、効率を高めるための例では、AIを使って手軽に最適解を導き出してもらえるツールや、動画の活用、独自の検索機能比較機能があるツールなどです。
よりリアルな情報を手に入れるためのツールとしては、企業をよく知るためのコミュニケーションツールや動画ツール、相談ツール、内情を知れるツール、インターンシップ参加のハードルを下げるためのツールなどへの期待が多かったです。
世代を特徴する意見としては、従来型の検索応募だけではなく、マッチングアプリのように出会える機能やスカウトや逆オファーに期待する声がありました。
上記の中には、就活サービスを展開する会社に期待するものもあれば、新卒採用をする企業側で対応できることもあります。開示する情報、活用すべきツールを精査して、就活生が欲しい情報を提供していくことが、自社に合った人材を確保する新卒採用の近道になるのではないでしょうか。
ガクセイ協賛では、現代の就活生の思考に合わせて企業動画を用いた採用活動のお手伝いもしています。合同説明会で各社が話されるような企業説明を、動画で届ける企業研究weekを定期的に開催しており、多くの就活生が活用しています。ご興味ある人事担当者の方は、ぜひ一度ご相談ください。まずは資料をお送りします。
以上、大学生の「就活の情報収集で使っているツール・サービス」に関する実態調査について解説しました。ガクセイ協賛は、大学生の意識調査などを全国800大学の学生にアンケートを行なっております。商品やサービスのアンケート、就活やバイトに関する意識調査など、大学生へのアンケート調査をご希望の方はご相談ください。