大学生の選挙や政治への関心、投票に行かない理由を徹底解説!

日本では18歳以上に選挙権が与えられますが、これには大学生も含まれます。しかしながら、大学生の中には選挙や政治に関心の薄い層も少なくありません。
全国の学生を対象として政治・選挙への興味関心の実態に関するアンケート調査を行いました。本記事では、その調査結果の概要について解説します。

 

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大学生の政治や選挙に対する興味関心

【図1】

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「政治や選挙に関心があるか?」(n=511)を質問したところ、政治や選挙に興味関心がある学生の割合は、全体の61%に相当します。
一方で、反対に興味関心がないと答えた割合は全体の約40%弱に相当します。つまり、大学生の5人に2人の割合で選挙に興味関心がないことがわかります。

投票権があることの周知率

【図2】

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そもそも、大学生は自身に投票権があることを知っているのでしょうか。
続く「大学生に投票権があることを知っているのか?」(n=511)という質問に対して、全体の95.7%が「自分が投票権を持っていて投票可能であることを知っている」と回答しています。

2015年の改正公職選挙法で投票権の年齢が18歳に引き下げられましたが、その事実は広く周知されているようです。投票権がないからまだ選挙・政治に興味がないのではなく、投票権を持っていると知ったうえで、選挙に興味がない大学生が40%近くいるということが現在の状況です。

実際の投票率

【図3】

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さらに、興味関心があると答えた割合と実際に選挙に参加した割合を比較するために、アンケートを行った2021年11月4日の最も直近で開催された衆議院議員選挙(同年10月31日)に大学生が行ったかどうか(n=511)を質問しています。

結果は、全体の52.8%が「投票した」と回答しています。

図1では「選挙に興味関心がある:61%」という回答結果であるにも関わらず、実際の投票行動に繋がっていない層が約10%程度存在することが分かります。

他年代と比較した際の投票率の違い

ここまでをまとめると、政治や選挙に興味がない大学生が40%程度いて、さらに選挙に行かなかった学生が47%いるということになります。

実際に若者の選挙離れは進んでいるのでしょうか。この数値他の年代の投票率と比較してみました。

令和3年に行われた衆議院議員総選挙において、全体の投票率は55.93%でした。それに対して、若年層の投票率は18歳男性が48.80%、18歳女性が53.68%、19歳男性が33.34%、19歳女性が36.79%、18歳合計が51.24%、19歳合計が35.06%、10代全体では43.01%という結果となりました。

数値だけを見ると若干低く感じられますが、「選挙離れが進んでいるのか」と聞かれるとそうではありません。若年層の投票率は徐々に上がってきている傾向にあり、本選挙で18歳の投票率が初めて50%を超えることとなりました。

また、19歳の投票率が低い傾向にも理由があります。後述でより詳しく解説しますが、「教員などから直接投票へと呼び掛けられる機会が減ったこと」や「就職1年目で忙しいこと」「新生活が始まったが住民票を移していないこと」など、若年層ならではの理由があります。そのため、興味関心が薄れた結果が数値で反映されているというわけではありません。

政府やメディアが若年層に対して選挙参加を促したこともあり、投票率(政治への関心)は徐々に上昇しています。それでも他の年代と比較すると投票率が低い理由を以下で解説をしていきます。

なぜ大学生の選挙や政治意識が薄いのか

なぜ大学生の選挙や政治意識が薄いのかのバナー画像

大学生の投票率および選挙への関心が低いことについては先ほど解説した通りです。
では、なぜ大学生の選挙・政治への興味関心が薄いのでしょうか?理由を深堀りするためのアンケートを続けてみました。

大学生が選挙に参加した理由

【図4】

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投票に行った、と回答した大学生に理由をアンケートしたところ、「自分には選挙権があり投票するのは当然だから」(n=270)と回答した人が73%と大多数を占めています。

昨今ではとくに新型コロナ感染の流行により政治の影響を身近に感じた大学生が多く、「若い人の意見を投票で届けたかった」「選挙結果が自分に影響すると感じた」という意見が増えたことが想定されます。

大学生が選挙に参加しない理由

【図5】

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一方で投票に行かなかった学生の理由(n=241)としては「時間がなかったから」「住民票を移しておらず今の住所では投票できないから」「政党の公約や候補者の人物像がよく分からないから」という回答が多数を占めています。

  • 勉学やアルバイトに時間を使っている
  • 新生活を始めたばかりで住民票を移していない
  • 関心が小さくアンテナを貼っていないため、選挙情報をキャッチできていない

 

よりわかりやすくまとめると上記の通りであり、大学生ならではの背景が選挙に行かない理由に直結していることがわかります。

大学生の選挙や政治意識を改善することはできるのか?

【図7】

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自分たちの世代の投票率についてどう思うか(n=511)アンケートしたところ、89%が「改善すべき」と回答しています。
大学生も、自分たちの世代に対して投票率の低さに関する危機感を持っている人が多いことがわかります。

若者自身に現状の改善意識はあるので、「大学生が選挙に行かない理由」で解説した原因をもとに対策を行えば、若者の選挙離れを解決していくことはできるでしょう。

大学生の投票率を上げるためにできること

大学生の投票率を上げるためにできることのバナー画像

それでは最後に、大学生の投票率を改善するためにできることについて解説します。

不在者投票システムを若年層に広める

選挙に行かない理由の1つに「住民票を移していないから」という理由がありました。

実は、住民票を移していないけれど投票したい場合の対応策として、住民票がある地域の選挙管理委員会に必要な書類を郵便で請求する「不在者投票」というシステムがあります。

ここまでの解説で選挙に興味関心があるものの、選挙に参加していない層がいることがわかっています。その背景にはこのような「住民票問題」があるのでしょう。
今後、選挙率の改善のために不在者投票システムを大学生が情報をキャッチできる媒体を使って、広めていくことが重要になるでしょう。

情報発信チャネルを見直す

【図6】

情報発信チャネルを見直すのバナー画像
「関心が小さくアンテナを貼っていないため、選挙情報をキャッチできていない」という理由から、情報をキャッチしやすい媒体を使用することが対策として挙げられます。

大学生が、政治・選挙の情報を集める際に利用する情報源について(n=511)アンケートしたところ、72%が「テレビ」と回答しています。
昨今は若者のテレビ離れが浮き彫りになっているとはいえ、選挙に関する情報収集ではテレビが重要なメディアとして現役であることがわかります。

一方で、「SNS」や「インターネットニュース」の利用率も高いことが分かっています。
大学生の時間の使い方がインターネット中心であることから考えても、今後の政治活動においては従来の手法に加えてWeb上での活動での両輪で回す戦略が重要になると考えられます。

インターネット投票の活用

【図8】

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選挙に行かない理由の中には「時間がない(予定がある)」、「面倒である」、「体調が優れない」などの理由がありました。これらの理由が生まれる背景には「住民票を移行しておらず現在の居住区域で投票に参加できない」や「海外に居住している」などの事情もあります。
これらの理由から、より投票方法を簡単にして参加ハードルを下げる必要があると言えます。

実際に投票率を上げるために効果的だと考える施策について(n=511)アンケートしたところ、73%が「インターネット投票」と回答しています。

その他の回答の中で多かったのが「大学内で投票できるようにすべき」との意見がです。すでに実績のある大学も多いのですが、主流であるとは言えません。
大学生の生活スタイルに合わせた選挙方法の導入が、大学生を選挙に向かわせる原動力となるのでしょう。

関心の高い社会問題を把握する

【図9】

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選挙に行かなかった大学生の声の中には、そもそも選挙に関心がないという意見もありました。若者の選挙率改善を目標とするのであれば、「物理的に行けない・時間的に行けない」ことへの対策だけではなく、そもそも興味関心を持たせるという施策も平行して行わなければいけません。

平成29年のデータを集計してみました結果、60歳以上の投票者が全体投票者の49%(有権者は42%)でした。
そのせいか、現在の政策や選挙時のマニフェスト、チラシなどで打ち出しているポイントなどは「高齢者向け」の内容となっている風潮があります。たしかに「自分の党に票を集める」、「多くの国民が喜ぶ政策を実施する」という点では当然の流れです。

しかし、若年層の興味がますますなくなるという事態を避けるためには、若者が注目している社会問題に着目することが大切です。

興味関心のある社会問題についてアンケートしたところ、1位は「新型コロナウイルス等の感染症対策(ワクチン、保健所など)」、2位は「新型コロナ関連の経済対策(補助事業、Go to関連など)」となりました。

これを男女別に分けて見てみると、男性は「経済政策・雇用(働き方改革、失業率改善など)」「学校・教育(内容見直しや質の向上、IT化など)」が上位に挙がったのに対して、女性は「子育て支援(少子化、出生率、育休・産休、待機児童、補助金など)」の票が多い結果になりました。また、男性と比べて「LGBT法整備(性的マイノリティの平等、人権、同性婚など)」の関心が高いなど、男女で重要視している社会問題に違いが見られました。

こうした傾向を把握したうえで、これらの社会問題の改善を前面に押し出した選挙活動を行うことが、大学生の選挙への興味関心をもたらすことになるでしょう。

 

また、2022年7月10日の参議院選挙の直前にアンケートをとって、大学生が政治家や選挙、政策に対して求めていることをまとめた記事もあわせてご参考ください。
▷ 参議院選挙2022「直前アンケート」大学生が政治に求めること

 

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