「食」に関するさまざまな問題があります。食と健康には密接な繋がりがあり、問題をそのままにしておくと生活習慣病などの病気に発展してしまうこともあるでしょう。本記事では現代の食生活の問題をリストアップし、改善方法について解説しています。本記事を自分の食生活について振り返るキッカケにしてみてください。
若者によくある食生活の問題・乱れ
本記事では、599名の大学生への調査を行い、食生活の乱れや問題の実態をリサーチしています。以下では、調査の中でわかった、現代の若者の食に関する問題を1つずつ解説します。
野菜不足
食に関する問題として、まず第一に挙げられるのは「野菜不足」でしょう。「野菜はどれくらいの頻度で食べますか?」(n=599)と質問しました。
厚生労働省が発表している「健康日本21(第二次)」では、生活習慣病などを予防し、健康な生活を維持するために「野菜類を1日350g以上食べましょう」と掲げられています。
350gとは、副菜や小鉢で5〜6品程度の量となります。編集部が行ったアンケート調査では、野菜を食べる頻度が1日1回以下の若者が40%でした。1日1回の摂取では、おそらく目標の摂取量を超えることはできないでしょう。そのため、大学生の約4割は確実に野菜不足が懸念されます。
野菜を全く食べないと回答した学生に対して「野菜を食べない理由を教えてください。(n=46)」と質問しました。若年層が野菜を食べない理由としては「調理が面倒であること」と「野菜の価格が高いこと」の2つが大きいです。
若年層は食事に(だけでなく物事全般に関しても)時短や手軽さを好んでおり、自宅で食事をする際に調理が面倒だと感じてしまうようです。そのほかにも、調理をするくらいならファストフードなど外食に頼ってしまう傾向もあり、野菜不足がより深刻化しているようです。
また、野菜の価格が高いという点もネックとなっています。アルバイト給料や奨学金で生活費を賄っている学生たちからすると、数百円の野菜を複数購入して副菜を1品増やそうとは思わないのかもしれません。
朝食抜き(夕食抜き/昼食抜き)
2つめの問題として朝食を取らないことが挙げられます。
アンケート調査で「それぞれの食事について教えてください。(n=599)」と質問したところ、朝食を毎日食べる方は6割程度で、残りの4割は食べない日がある、全く食べないと回答をしています。
朝食を抜くことも食生活に関する大きな問題の1つであり、朝食がない習慣が続くと「体重の増加」や「脳が働かない」、「ストレスを感じやすくなる」、「低血糖になる」などのリスクが生まれます。
朝食を全く食べない理由(n=44)は「朝食の習慣がないから」や「時間を別のことに使いたいから」、「お腹が空かないから」、「生活リズムが遅いから」などが多いです。
朝食はできれば食べた方がいいですが、「お腹を壊してしまう」や「睡眠時間を優先すべき」「食べることがストレスになる」など特別な理由がある場合は無理をする必要はありません。
ただし、「習慣がないから」など食べても問題がないのに、なんとなく食べていないのであれば改善してみるのもいいでしょう。
早食い・短時間での食事
「早食い・短時間での食事」も若年層の食生活に関する問題の1つです。
早食いがいけないと言われる理由は、自分が満足できる量よりも多く食べてしまうことにあります。食事時間の理想は20分以上と言われています。なぜなら、人は食事を始めてから満腹中枢が働き始め、約20分で満腹感を得るため、時間をかけることで過食を防ぐことができるからです。
若年層に対する調査で「それぞれの食事にかける時間について教えてください。(n=599)」と質問したところ、食事に20分以上の時間をかけている人の割合は少ない結果となりました。昼食では約55%が20分未満と回答し、夕食は33%が20分未満と回答しています。
偏食・栄養バランスの偏り
偏食・栄養バランスの偏りも、もちろん重大な食生活に関する問題です。理由は明白であり、体に必要なビタミンやミネラルなどの栄養素が不足してしまうためです。
上記の画像は「普段、主食・主菜・副菜が揃った食事を意識していますか?(n=599)」という質問に対する回答となっています。若年層の実態としては、「意識していない人」が30%程度いる状態です。
効率性や金額を重視する若年層の場合、お弁当や牛丼、ラーメン、ハンバーガーなど一品物の料理を購入するケースが多いことが原因でしょう。
食事時間の乱れ
食事をするうえで、規則正しい時間に食事を取ることも大切です。「夕食は大体何時ごろに食べますか?(n=573)」と質問しました。
食事の間隔は、消化時間を考慮して4時間程度が理想と言われています。つまり朝起きて朝食を取った時間からちょうど12時間後が最適な夕食のタイミングと言えます。
その人のリズムにもよるため、一概に良い悪いとは言えませんが、調査の結果夜21時以降になることが多いと回答した学生が25%、4人に1人程度いました。
食事の時間が遅くなったり、バラバラになったりすると体内時計が狂ってしまうだけでなく、太りやすくなるという影響も出てきます。
長く空腹が続いた状態から食事を取ると糖を脂肪に変えて蓄えるインスリンという物質が分泌されてしまうこと、また、夜中に食事するとエネルギー消化しきれず蓄えてしまうことの2つの理由からです。
何かをしながらの食事
「ながら食べをすることはありますか?(n=599)」と質問したところ、若年層は効率性を求める人が多かったり、スマホに依存している人が多いことから、「ながら食べ」をする習慣があるようです。
「何をしながら食べることが多いですか?(n=572)」の回答で多かったのは、スマホやテレビ、パソコンなどが主です。
根底に孤食習慣がある可能性もありますが、会話を楽しみながらの食事が出来ていないことも、食育に関する問題の1つです。そのほかにも意識が食事に集中せず、噛む回数が少なくなったり、過食してしまうなどの問題もあります。
間食や夜食の取りすぎ
間食を「毎日」また「週3〜4」と回答した方は40%程度、夜食は10%程度でした。「間食や夜食でよく食べるものは?(n=417)」と質問しました。
ともに食べすぎの原因になってしまう可能性があります。とくに若年層が間食や夜食でよく食べている「チョコレート」や「アイス」「スナック菓子」は、高カロリーのものが多く、消費できなかったエネルギーが脂肪として蓄えられてしまう可能性が高いです。
サプリメントや栄養剤の取りすぎ
一般的に食に関する代表的な問題として、栄養補給をサプリメントに頼りすぎてしまうことが挙げられますが、若年層に至ってはその問題は目立ってはいないようです。「次の食品や飲料についての利用頻度を教えてください。」(n=599)と質問しました。
サプリメントがあくまで栄養の補完的な役割であることを深く理解できているのか、単純に購入する習慣がないのか、また金銭的な問題なのか、心理背景までは今回のアンケートではわかりませんが、どちらかと言うと健康食品全般の中では、カロリーオフや低糖質の商品への関心が強く、サプリメントの購入頻度はそこまで高くないようです。
食生活が乱れるとどうなってしまうの?
ここまで、食生活の乱れに関する具体例を紹介してきましたが、実際にそのような問題を放置してしまうと、どうなってしまうのでしょうか。
エネルギーの摂りすぎ:肥満、糖尿病、虚血性心疾患
食塩の摂りすぎ:高血圧、脳卒中、胃がん
脂肪の摂りすぎ:肥満、脂質異常症、糖尿病、虚血性心疾患
ビタミン・ミネラル・食物繊維などの不足:がん、骨粗しょう症、貧血
過食や偏食など、何が足りていないのか又は過剰になっているのか問題によって、引きおこう症状はさまざまですが、ざっくりまとめると上記のような病気や症状が発生するリスクがあります。
食と健康の結びつきは強く、場合によっては大きな病気となってしまう可能性もあります。いま自分に起きている食に関する問題をきちんと見直し、小さな問題が年月をかけて蓄積されてしまわないようにすることが大切です。
食生活を正しく見直すメリット
- 腸内環境が整う
- 自律神経が乱れなくなる
- 集中力の向上する
- 肌が綺麗になる
- 健康でいられる
反対に、食生活に関する問題をクリアにすることで、大きなメリットがあります。
例えば、栄養バランスが取れた食事をすることで腸内環境が正常化し、腹痛や下痢などの症状が収まったり、肌や顔色が健康的になったりします。
そのほかにも、寝付きがよくなり自律神経が正常になったり、体内時計が正常化し集中力がます効果もあるでしょう。
食生活は乱れてしまうとデメリットが大きく、正しく見直せばメリットが大きいものだと認識してください。
食生活の問題、乱れの見直し方・改善方法
いざ、食生活の乱れを直すにはどのような方法があるのでしょうか。
これさえすれば全て解決といった方法があるわけではなく、食に対する意識や向き合い方を改め、1つ1つの問題をコツコツ解決していく以外の方法はありません。
もちろん、いきなり全てを理想通りに改善するとなると、ハードルが高すぎて挫折してしまったり、食事がストレスになってしまいます。現実的にできる範囲のことから始めて、少しずつ正しい食生活に治せるように努力していきましょう。
具体的には上述した問題をなくすほか、以下のことを意識するといいでしょう。
食べる量を意識する
まずは、1日に必要なエネルギー量について理解をすることが大切です。
農林水産省では、成人女性は2000~2400kcal、男性は2400〜3000kcalが1日に必要なエネルギーの目安とされています。
いきなりカロリーを数値で伝えられてもわかりにくいかもしれません。食品や料理名、商品名を検索をするとカロリーの数値を簡単に調べることができます。また、最近は栄養やカロリー計算ができるスマートフォンアプリも多数リリースされています。
毎日毎日、完璧にカロリーを計算することは難しいですが、自分が一日に食べる平均的な食事量が推奨カロリー内におさまっているのかを、一度確認してみるのもいいでしょう。
時間がない人や外食・中食を好む人など「一品物」の食事が多くなってしまっている人は、食事のバランスを意識するようにしましょう。
その際、大切になるのがそれぞれの栄養素の役割を理解することです。
栄養素はタンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルの5つに分類され、これらは「5大栄養素」と呼ばれています。
タンパク質には、筋肉や血液など身体を作る役割があります。食材の例を挙げると肉や魚が当てはまります。
脂質や糖質は脳や身体を動かすエネルギー源になります。糖質の代表的な食材には砂糖や穀類、イモ類、脂質は油や脂身などがあります。
最後に、ビタミンやミネラルには身体の調子を整える役割があります。具体的には、タンパク質や脂質、糖質の分解や合成を補助します。ビタミンは野菜や果物、ミネラルは海藻、乳製品、野菜、果物などから摂取できます。
これらの栄養素を偏りなく取るためには、ご飯と汁物、3種類のおかずによって構成された献立「一汁三菜」の形が理想的と言われています。
画像引用:食事バランスガイド|厚生労働省
1日に何をどれくらい食べるべきなのかについては、農林水産省が公開している「食事バランスガイド」を参考にするといいでしょう。
バランスが取れた状態が「コマ」で表現されています。コマの先端にある食べ物は推奨摂取量が少なく、上にある食べ物は推奨摂取量が多いです。また、水分が回転の軸になっていることや、適度な運動によって回り続けることも上手く比喩されています。
食事のリズムを整える
食生活の問題を見直すうえで、食事のリズムひいては生活のリズムを見直すことは大切です。夜遅くまで通話やゲーム、SNSをしており朝起きられなくなってしまうと、それだけで食事のリズムが壊れてしまいます。
また、深夜にお腹がすいて食事をしてしまうとエネルギーが溜まってしまい肥満の原因となってしまいます。エネルギーバランスの理解やカロリー摂取の理解を深めることももちろん大切ですが、まずは規律正しい生活をおくり、朝昼晩の食事のリズムを整えることを食生活見直しの第一歩としましょう。
よく噛んで時間をかけて食べる
食事の最中はよく噛むことを意識してください。一般的によく言われていることですが、一体何がいいのでしょうか。
咀嚼のメリットは主に2つあります。
1つは消化吸収を助ける効果です。よく噛み、細かくなった食べ物は表面積が増えることから、消化酵素が作用しやすくなります。その食べ物の栄養は無駄になることなく、きちんと体内に取り込まれ、不必要な残りカスだけが排出されます。
2つめは過食の防止効果です。前述でも簡単に解説しましたが、脳の視床下部には満腹中枢と呼ばれる機関があり、食べ始めてから15〜20分後にお腹がいっぱいであるという信号を送ります。よく噛むことで食事にかける時間が増えることで、食べすぎが防止できるのです。
そのほか、顔の筋肉を動かすことが表情筋のエクササイズにもなると言われています。
以上、大学生の食生活の実態や問題について解説しました。ガクセイ協賛は、大学生の意識調査などを全国800大学の学生にアンケートを行なっております。商品やサービスのアンケート、就活やバイトアンケートなど、大学生へのアンケート調査をご希望の方はご相談ください。