【2025年最新】広告業界の売上推移から見える、集客戦略の変化とは?

2000年以降、広告業界は劇的な変化を遂げてきました。既にご存知の通り、インターネットの普及とデジタル技術の進歩により、企業のマーケティング手法は大きく戦略が変わってきています。本記事では、総務省・内閣府などの公式統計データをもとに、広告業界の売上推移とそれに伴う集客戦略の変化について解説します。数字の裏にあるトレンドを読み解き考察をまとめているので、広告や集客、ブランディングにご興味ある方は、是非ご参考になさってください。

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2000年以降の広告市場:売上推移の全体像

まず、日本の広告市場規模の近年の推移を押さえておきましょう。2000年代初頭、日本の広告費は約5〜6兆円規模で推移していました。リーマンショック(2008年)や東日本大震災(2011年)といった経済的ショックの影響で一時的に減少したものの、その後はゆるやかな回復と成長が見られます。特に2010年代後半からは景気回復やデジタル広告の牽引により市場が拡大し、2022年の総広告費は7兆1,021億円と過去最高を記録しました。これは、リーマンショック前のピークだった2007年の7兆191億円を上回りました。2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で9年ぶりに市場全体がマイナス成長となりましたが、2021年以降は急回復し3年連続で過去最高を更新しています。

こうした総広告費の推移を振り返ると、日本の広告市場は当然ながら経済状況と連動しつつも、広告チャネルのデジタル化という構造変化によって底上げされていることが分かります。2024年には総広告費が推定7兆6,730億円(前年比104.9%)に達し、堅調な企業収益やインバウンド需要の高まりもあって市場は拡大傾向が続いています。つまり、広告業界は一時的な景気の波に左右されながらも、長期的には成長していると言えます。

 

マスメディア広告費の減少とデジタル広告費の台頭

2000年以降の広告費の内訳を媒体別に見ると、従来型の4大マスメディア(テレビ・新聞・雑誌・ラジオ)とインターネット広告の明暗がはっきりと分かれます。

4大マスメディアの広告費総計は、2000年には約2兆9,000億円でしたが、2022年には半減し、約1兆6,000億円まで縮小しました。特に新聞・雑誌の落ち込みが大きく、テレビ広告費も伸び悩み、長期的には減少傾向です。
一方、インターネット広告費はインターネット黎明期である2000年時点では市場の1%にも満たない規模(数百億円程度)でしたが、この25年で驚異的な伸びを示しています。経済産業省の統計によれば、2006年に本格的に計測が始まったインターネット広告取扱高は1,200億円から、2022年には1兆4,000億円超まで右肩上がりに拡大しました。まさに「広告費の主役」がマスメディアからインターネットへと移行していることが数字に表れています。

特筆すべき転換点として、2019年にインターネット広告費が初めてテレビ広告費を上回り、2021年にはついに4マス媒体広告費の合計も追い抜いたことが挙げられます。これは日本の広告費の構造における歴史的な逆転現象であり、企業の予算配分が急速にデジタルシフトした象徴的な出来事です。実際、2024年時点でインターネット広告費は約3兆6,517億円となり、市場のほぼ半分を占めています。

一方、テレビを含むマスコミ四媒体のシェアは全体の3割程度にまで低下しました。以下に、媒体別動向のポイントをまとめます。

テレビ・ラジオなど放送広告

テレビ広告費は依然として単一媒体では最大級の規模ですが、ピーク時と比べて横ばい〜微減傾向にあります。2010年代後半からは年間1.6~1.7兆円規模で推移し、デジタルに首位の座を譲りました。ラジオ広告は規模は小さいものの近年デジタル音声広告(例: ポッドキャストやradiko)との連携で微増し、2024年はわずかに伸長しています。

新聞・雑誌など活字媒体

新聞広告費・雑誌広告費は部数減や読者層の高齢化により縮小が続いています。新聞広告費は2024年時点で3,417億円と前年割れを継続し、雑誌広告費も1,179億円程度と小さな市場になりました。デジタル版への移行(新聞デジタル広告、雑誌の電子版など)が進むものの、広告収入全体では紙媒体の減少を補いきれていません。

プロモーションメディア(SP)広告

折込チラシ、屋外看板、イベント・展示会等のいわゆるSP広告費は、コロナ禍で大打撃を受けた領域です。ただし、2023年以降、コロナ制限緩和に伴い交通広告やイベントが復調しつつあり、2024年のプロモーションメディア広告費は1兆6,850億円と前年比同等まで回復しました。とはいえコロナ前の水準に戻るには至っておらず、企業の販促手法もデジタル施策とリアル施策を組み合わせたハイブリッド戦略が求められています。

インターネット広告

現在も拡大を続け、今や最大の広告領域です。検索連動型広告(リスティング広告)が依然としてデジタル広告費全体の約4割を占める最大カテゴリーであり、次いで動画広告(約28%)、ディスプレイ広告(約26%)が主要な構成を占めます。特に近年では動画広告は需要が高まり、2024年は前年比123%増という成長率を示しています。またソーシャルメディア広告も拡大が著しく、2024年には1兆円超の規模に達しています。このようにインターネット広告は多様な手法の集合体として進化を遂げており、各種プラットフォームへの広告出稿が市場を牽引しています。

 

デジタル時代の新たな集客手法

媒体のデジタルシフトに伴い、企業の集客方法(マーケティング手法)もこの20年で大きく様変わりしました。かつて主流であった大手企業向けのテレビCMや新聞広告による一方向の大量露出だけでなく、現在では双方向性・ターゲット精度の高いデジタルマーケティング手法が次々と登場しています。ここでは、特に注目すべき新しい集客手法の変化と、その特徴・背景について解説します。

SNS広告・ソーシャルメディアマーケティング

SNS利用率の急増に伴い、Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、YouTube、TikTokなどソーシャルメディア上での広告展開が増加しています。SNS広告はユーザーの興味関心に基づいて細かくターゲティングできるため、効率的に集客できる手法です。また、タイムラインに溶け込むインフィード広告や、スマホユーザーに最適化した縦型動画などプラットフォームの変化に合わせたリエイティブ手法が発達しました。結果として、SNS広告費は年々拡大し2024年にはインターネット広告媒体費の約37%を占めるまでに成長しています。企業は公式SNSアカウントの運用や、ユーザーとのエンゲージメント強化にも力を入れるようになり、SNSは広告枠提供のみならずブランディングやCRMの場としても重要になっています。

インフルエンサーマーケティング

ソーシャルメディア隆盛とともに生まれた手法がインフルエンサー(SNS上の影響力者)を起用したマーケティングです。企業が商品紹介やレビューをインフルエンサーに依頼するこの手法は近年急拡大しており、「インフルエンサー広告」市場も増加傾向です。例えば、日本国内のインフルエンサーマーケティング市場規模は2024年に860億円に達したとも言われており、YouTubeやInstagram上でのプロモーションを中心に今後も成長が見込まれています。特に若年層の消費行動に対する影響力が大きいため、コスメ・食品・アパレル業界などを中心に重要な集客チャネルとなっています。

 

動画広告とコンテンツマーケティング

ブロードバンドとスマートフォンの普及により、オンライン動画の視聴が日常化しました。それに伴い、YouTubeやTikTok、Instagramストーリーズなどで配信される動画広告が企業の集客戦略の柱になりつつあります。動画広告は視覚と聴覚に訴求できるためブランド訴求力が高く、商品紹介からサービス体験までリッチに伝えられる点が強みです。企業はテレビCMの延長線としてだけでなく、ウェブ動画コンテンツやライブ配信など多彩な形で動画を活用するようになりました。また、ユーザーに有益な情報や物語性のあるコンテンツを提供し共感を得るコンテンツマーケティングも重視され、単なる広告色の強いメッセージよりもソフトに訴求して集客する手法が浸透しています。

検索エンジンマーケティング(SEM)とSEO

消費者が商品やサービスを探す際にまずインターネット検索を利用する行動は、この20年で定着しました。検索結果ページに表示される検索連動型広告(リスティング広告)は、ユーザーの具体的なニーズに応えてサイト誘導できるため、費用対効果が高いのが特徴です。現在でも検索広告はインターネット広告媒体費の約4割を占める最大セグメントであり、特にBtoBや高額商材の分野で重宝されています。また、検索結果で上位に表示されるようウェブサイトを最適化するSEO対策も集客戦略の基本となりました。一方で、近年のChatGPTを含む生成AIの登場によって、消費者の行動に変化も見られます。現時点では広告に連動していないものがほとんどですが、今後注目の領域になるでしょう。

データ活用によるターゲティング広告

デジタル化によって得られるユーザーデータを活用し、一人ひとりに最適化した広告配信(パーソナライズド広告)も重要性を増しています。ウェブ閲覧履歴や購買履歴に基づき興味関心に合った広告を配信するリターゲティングや、顧客セグメントごとにクリエイティブを出し分ける手法は、無駄打ちを減らし効率的に集客できる方法です。近年では自社保有データを活用した顧客リレーション強化や、AIを用いた広告配信最適化も進んでいます。プライバシー保護の動きからクッキー利用制限の課題もありますが、データドリブンなマーケティングは今後も集客戦略の鍵となるでしょう。

デジタルサイネージとO2O施策

オフライン領域でもデジタル技術を取り入れた新手法が登場しています。その代表例がデジタルサイネージです。従来の紙ポスターや看板をディスプレイに置き換え、ネットワーク経由でリアルタイムに表示内容を更新できる仕組みで、近年需要が拡大しています。時間帯や場所に合わせて柔軟に広告内容を変えられるため、ターゲットに適切な情報をタイムリーに届けることが可能です。例えば飲食店では昼と夜で異なるメニュー訴求をしたり、小売店では天気に応じた商品広告を表示するなど、きめ細かな集客策を実現しています。また、オンラインとオフラインを連携させるO2O(Online to Offline)戦略も一般化しました。SNSやウェブ広告で興味を喚起し店舗に誘導する、逆に店舗イベントで得た顧客情報をオンライン広告に活かすといった取り組みで、チャネル横断型の顧客体験を提供する企業が増えています。

 

集客戦略の変化とこれからの展望

2000年以降の広告業界の売上推移を振り返ると、デジタル革命とも言うべき大きな流れの中で市場構造と集客戦略が変化してきたことが分かります。広告費配分はテレビ中心からインターネット中心へとシフトし、それに伴って企業はより精緻で双方向なマーケティング手法を駆使するようになりました。かつてはテレビCM一本槍で大量の見込み客にリーチする戦略が主流でしたが、今やSNSでのエンゲージメント構築やインフルエンサー活用、検索・動画・リアル連動施策など多面的な集客戦略を組み合わせ、さらに今後はAIをどう活用していくかという時代です。

公式データから見ても、日本の広告市場の成長はインターネット広告が大きく牽引していることは明らかであり、逆に言えばデジタル対応の巧拙が企業のマーケティング成否を左右するといっても過言ではありません。もっとも、テレビや新聞など従来媒体がすべて不要になったわけではなく、特定の高齢層へのリーチやブランド信頼性向上など目的に応じた役割は残っています。今後も広告費全体は緩やかに増加が続く見通しで、特にデジタル広告の比率はさらに高まっていくでしょう。電通の世界予測によれば、2025年には世界全体の広告費の60%以上がデジタル広告になるとも見込まれています。

最後に、これからの集客戦略で鍵を握るのは「変化への対応力」です。消費者の行動様式やメディア環境は常に変わり続けています。SNSの次に来るプラットフォームや、新しいテクノロジー(例:AIによるパーソナライズ、メタバース空間での広告体験など)の台頭にも目を配りつつ、自社のマーケティング施策をアップデートし続ける姿勢が求められます。幸い、日本企業はコロナ禍を経てデジタルトランスフォーメーションへの意識が高まっており、広告代理店各社も伴走者としてその支援に注力しています。広告業界の売上データが物語る潮流を正しく読み解き、伝統的手法の良さも活かしつつ新しい集客戦略を取り入れることが、これからのビジネス成長のカギとなるでしょう。

 

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