データドリブン時代の集客戦略 〜 総務省統計などから読み解く

データドリブンという言葉を耳にする機会が増えていることだと思います。データドリブンとは、定量的なデータ(売上・顧客行動・アクセス解析・市場調査など)を集めて分析し、その結果に基づいて戦略や施策を行うことで、従来の担当者や経営者の経験や勘に依存しない意思決定の方法です。

特に広告・集客・ブランディングの分野では、勘や経験だけでなく客観的データに裏付けられた戦略が現代の変化の早い時代を生き抜く鍵になっています。とは言っても、データをどのように分析すべきか、そもそもデータを集めるには時間か費用がかかるため、今回は誰でもアクセスできる総務省や内閣府などが提供する公式統計データを活用します。消費者動向を映し出すこれらの数字には、効果的な集客戦略へのヒントが数多く潜んでいます。本記事では、公式データを紐解きながらデータドリブン時代にふさわしい集客戦略のポイントを解説していきます。

 

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デジタル化する消費者行動

総務省の最新調査データ(令和6年(2024年)通信利用動向調査)によれば、スマートフォンの世帯保有率は90.5%で、個人でも8割を超える人々がスマホを持つまでになりました。またインターネットの利用目的を見ると、「SNSの利用」割合が81.9%で最も高いとのデータがあります。これらの数字から、日本では老若男女を問わず日常生活にデジタルツールが深く浸透していることが分かります。

さらに年代別のデータを見ても、SNS利用はどの世代にも広がっています。20代でSNS利用率が90%以上、30代でも約85%というのはイメージ通りだと思いますが、シニア層でも利用が増えており、60代で約75%と高い普及率が報告されています。当然ながら大学生を含むZ世代の若年層にとってSNSは欠かせない情報源ですが、同時に中高年層にとってもSNSは身近な存在となりつつあります。インターネットが日本で普及し始めた2000年代前半から20年以上経ってるので、仕事でインターネットを活用していた50代が現在70代になっていることを考えると、自然な流れとも言えます。

こうした公式統計データが示す通り、年齢問わず多くの消費者にとって情報収集やコミュニケーションの場はデジタルシフトしたと言えます。企業はこの現実を踏まえ、オンライン上の顧客との接点(SNSマーケティングやウェブ広告など)を積極的に戦略に組み込む必要があります。

 

広告市場のデジタル広告へのシフト

マーケティングの世界でも、データが示す通り広告予算のデジタルシフトが加速しています。2019年に日本のインターネット広告費が初めてテレビ広告費を上回り、さらに2020年にはデジタル広告費が年間約2.2兆円(前年106%)となり、日本の総広告費約6.2兆円の36%超を占める規模に達しました。テレビをはじめとする従来型マスメディア広告費の占める割合が低下する一方で、デジタル広告費は年々増加し続けています。2024年時点で、広告費全体に占めるインターネット広告の比率は47.6%まで拡大し、ほぼ広告市場の半分を占めています。企業のマーケティング投資先が急速にオンラインへ移行していることを、この数字は象徴しています。

特に注目すべきはモバイル(スマートフォン)向け広告のシェア率です。データによると、2019年時点でデジタル広告費の約75.9%がスマホ・タブレットなどモバイル向け広告枠による取引で占められており、PC向けは24.1%に留まりました。B to B商材であれば、ターゲットはPCで仕事をしている企業担当者になりますが、B to C商材のターゲットである消費者が日常的に利用するデバイスがスマホであることを考えると、企業はモバイル最適化されたコンテンツや広告配信に注力する必要があります。例えばウェブサイトのモバイル対応や、縦型動画広告・SNS広告などスマホで閲覧される前提のクリエイティブがますます重要になっています。

こうした流れを受け、デジタル広告特有の課題にも目を向ける必要があります。昨今はオンライン広告詐欺やブランド毀損リスクなどの「トラブル」も増えており、総務省は2025年に初のデジタル広告ガイドラインを公表して広告主に適正かつ効果的な配信手法を示しました。これはデジタル広告市場が急成長する一方で、企業側のリテラシーや対策が追いついていない現状への対応策です。ビジネス層にとっても、データドリブンで成果を最大化するだけでなく、ブランドセーフティ(安全性)を確保しつつデジタル広告を活用する視点が求められていると言えるでしょう。

 

データから導く集客戦略のヒント

公式統計データから読み取れるトレンドを踏まえて、具体的にどのように集客戦略へ活かすべきか、そのヒントをいくつか挙げます。

ターゲットの明確化と市場セグメント分析

データを用いて顧客ターゲットをより具体的に定義しましょう。例えば総務省「家計調査」の統計によれば、世帯主の年齢が50代で消費支出がピークに達し、以降は減少する傾向があります。また地域別に見ると都市部(関東など)は消費支出が多く、沖縄や東北では少ないことがデータから見えてきます。一方で、自社の競合はどのエリアが多くて、どこが少ないかなども見えてくるでしょう。こうした公式データや調査に基づき、自社の商品・サービスの主要顧客層や有望な地域市場を見極めることが重要です。若年層なのか富裕層なのか、都市部狙いか地方狙いか、データが示す需要と供給に合わせてターゲットと市場を絞り込むことで、集客効率は飛躍的に高まります。

デジタルチャネルの最適活用

サービスや商品にもよりますが、顧客の接点はデジタル上に集中している現実を戦略に反映しましょう。スマホ普及率が8割を超え、SNS利用率は平均で80%超というデータが示す通り、オンライン広告やSNS運用は集客戦略の柱です。特に大学生や20代前後の若者層にはInstagramやTikTok、社会人にはYouTubeやTwitter(X)など、年代・属性ごとに適したプラットフォームで情報発信することが効果的です。また総広告費に占めるデジタル広告の比重が年々増して半分近くに達している現状を踏まえ、広告予算も従来のマス広告やアナログ広告だけでなくリスティング広告やSNS広告、動画広告などデジタルに積極投下することが求められます。データに裏付けられたチャネルミックスで、最適な媒体組み合わせによる顧客接触を実現しましょう。

コンテンツ戦略と信頼醸成

消費者は情報に敏感である一方、不安も抱えています。総務省の調査ではインターネット利用者の約7割が利用時に何らかの不安を感じているとされ、またSNS利用者の60%以上が真偽不明な情報を見かけた経験があると報告されています。インターネットを利用した詐欺やSNSにおける情報操作などが横行しているため、利用者は真実を見極めたり自身の個人情報を守る必要があるため、自己防衛能力を高めています。この現実は、企業の発信する情報やコンテンツに信頼性と透明性が一層求められていることを意味します。ある意味、利用者自身がデータドリブン時代に入っているとも言えるでしょう。

集客のために単に宣伝するだけでなく、公式データやエビデンスを交えた説得力のあるコンテンツ作りや、顧客レビュー・口コミの活用、SNS上での誠実なコミュニケーション対応などを通じてブランドへの信頼を醸成する戦略が不可欠です。データ分析により顧客ニーズを的確に捉えたコンテンツを提供しつつ、ユーザーとの信頼関係を築くことで、新規顧客はもちろんのこと、長期的なファン獲得にもつながります。

PDCAサイクルと継続的な改善

データドリブンの強みは、施策の効果を数値で測定し迅速に検証・改善できる点にあります。集客施策にもKPI(重要な成果を測る指標)を設定し、ウェブ解析やSNS分析、広告のクリック率・コンバージョン率などをモニタリングしましょう。結果データを総合的に分析することで、「どのチャネルでどの層にリーチできたか」「投下予算に対する反応は適切か」「ボトルネックはどこか」といった洞察が得られます。それをもとに仮説を立てて施策を調整し、再度データで検証するといったPDCAサイクルを回す習慣こそが、データドリブン時代のマーケティングには欠かせません。公式統計などの外部データも活用しつつ、自社の蓄積データと照らし合わせて分析を深めていけば、集客戦略の精度はますます高まるでしょう。

 

データドリブンを繰り返すことで成果を最大化させる

公的機関の統計データに裏打ちされたインサイトを活用することで、マーケターは現代の消費者を取り巻く環境を正確に把握できます。総務省の通信利用動向データが示すように、人々の生活はスマホとSNSが切っても切り離せなくなっています。また、広告市場の数字を見てもデジタルシフトは今後も広がっていきます。一方でデジタル時代ならではの課題(情報過多や信頼性の問題)もデータから浮き彫りになっており、企業はこれらに目を配りながら戦略を練る必要があります。

最後に重要なのは、データをただ集めるだけでなく意思決定に活かす姿勢です。今回は公式統計という信頼性の高いデータを参考にしましたが、必要に応じて自社の流入データや競合データなどは集め、自社のマーケティング活動において検証と改善を繰り返し行うことで、時代の変化にもブレない強靭な集客戦略を築くことができるでしょう。データドリブン時代の波に乗り、根拠ある戦略で顧客を惹きつけ、ビジネスの成果を最大化していきましょう。

 

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