スマートフォンを含むデジタルデバイスの普及により、インターネット経由でより細分化したターゲットに対して以前より手軽に早く情報を届けることができるようになりました。一方で、広告チャネルが複雑化しており、より効果的に集客するための広告戦略やブランディング戦略に頭を悩ますマーケティング担当者の方も多いのではないでしょうか?
総務省の調査データなどを元にチャネルの解説を行っていますので、ご参考にしてください。
メディア接触時間の実態
まず、日本において、日常的にどのようにメディアに接しているか、その最新の傾向を確認します。総務省の調査データ(2024年度調査)によると、テレビ利用時間(リアルタイム視聴)とインターネット(スマホ・PCのアプリやブラウザの他に、ネット動画配信視聴も含む)の利用時間が双璧であり、一日あたりの平均利用時間はテレビ約160分、インターネット約180分となっています。休日はテレビとインターネットの利用時間がほぼ同じ時間ですが、平日はテレビ以上に長い時間を人々はインターネットに費やしています。また世代差も顕著で、20代以下の若年層ではテレビよりインターネット利用時間の方が長く、50代以上の高年層では逆にテレビが長いという傾向が見られます。興味深いのは60代でもインターネットを1日平均2時間以上利用しており、ネット利用が高齢層にも広がっている点です。
一方、新聞や雑誌など紙媒体、そしてラジオの存在感は大きく低下しました。例えば新聞(紙としての新聞)は、2022年時点で平日1日あたり全世代平均わずか6分しか読まれておらず、特に30代より若い世代にはほとんど読まれていない状況です。新聞・雑誌・ラジオは広告チャネルとして無視できるほど縮小しています。
さらに近年の傾向として、デバイスとしてスマートフォンでのメディア接触が急増しており、テレビは減少しています。一家に一台のテレビやPCなどから、より身近で手軽で1人で使用するパーソナライズされたスマホに焦点があてられます。こうした事実を踏まえ、企業は広告戦略を検討する必要があります。以下では主要な広告チャネルごとに、その特徴と効果的な活用ポイントを考察していきます。
広告チャネルごとの役割と活用方法

それでは、具体的にそれぞれの広告チャネルによってどのような役割があり、どうやって活用していくのが良いか解説していきます。
テレビ広告の役割と活用ポイント
テレビは依然として幅広い層にリーチできるマスメディアです。特に中高年層はテレビ視聴習慣がある人が多く、広告効果としても特に中高年に対して高い到達率を持つ媒体です。テレビCMは配信時に大量の認知を獲得しやすく、またテレビCMに出稿していること自体信頼性の証にもなるため、ブランドイメージの醸成に適している強みがあります。
一方で若年層はテレビ離れが進んでいるため、若い世代にリーチするにはテレビ単独では不十分でしょう。「ながら見」の傾向も強く、テレビ視聴中にスマホでSNSをチェックしたり、気になったキーワードを検索する人も増えています。そのため企業側としては、テレビCMとデジタル施策を連動させる戦略は有効になります。例えばテレビCMで興味喚起した後、その商品名がインターネット検索やSNS上で言及・共有されるよう促す施策(ハッシュタグ展開やキャンペーン誘導など)を組み合わせれば、テレビ×スマホで相乗効果を狙えます。
テレビは主にブランディング目的で活用しつつ、後述するデジタルチャネルで直接的な顧客誘導につなげるのが現代的な戦略と言えるでしょう。
スマートフォン広告(モバイル)の重要性
スマートフォンは現代人の生活の中心デバイスであり、広告チャネルとして最重要と言っても過言ではありません。世帯あたりのスマホ普及率は90.5%(2024年調査:総務省の通信利用動向調査)に達しています。人々が最も多くの時間を費やすスクリーンがスマホである以上、企業はモバイルで効果的に届く広告施策を重視する必要があります。
スマホ広告を考える上でポイントになるのが、スマホとPCの使い分けです。一般的に、PCは平日に主に仕事目的で使われ、休日には利用が減るのに対し、スマホは平日も休日も利用時間が多く、プライベートでも仕事でも使われる傾向があります。企業の広告最適化としては、ビジネス層にリーチしたいBtoB商材は平日昼間に発信するPC向け広告やメールマーケティングが有効でしょうし、一般消費者向け商材は通勤時間や夕方以降にスマホで閲覧されるSNS・動画広告に力を入れる、といった時間帯・デバイスに応じた出し分けが効果的です。
また、スマホ広告ではクリエイティブもモバイル最適化することが必須です。縦型動画や短尺コンテンツ、画面小さくても視認性の高いデザイン、指でタップしやすいボタン配置など、ユーザーがスマホで快適に広告を受け取れる工夫が必要です。読み込みが遅いページや文字だらけの画面は敬遠されがちですので、高速表示とシンプルなメッセージを心がけましょう。またGPSを活用した位置情報連動広告や、プッシュ通知、アプリ内広告など、スマホ特有の機能を活かした集客手法も考えられます。例えば近隣店舗のクーポンをモバイルで配信する、通勤経路上で位置連動広告を出す等、スマホならではの即時性・利便性を活用することで効果的な集客が期待できます。
SNS(ソーシャルメディア)広告の活用
SNSはコミュニケーションや情報収集の中心となっており、広告チャネルとしても影響力を持っています。総務省の2024年度調査でもインターネット利用目的の第1位が「SNS」(無料通話機能含む)であり、情報検索やメールなどを上回る結果が出ています。最近では若年層に限らず全世代で連絡ツールとしてもSNSを活用しており、平日でもメールよりSNSに費やす時間が長いほどです。SNS広告はこうしたユーザーのタイムライン上に訴求でき、拡散力やターゲティング精度に優れている点が魅力です。
主要なSNSプラットフォームとして、日本ではLINE、YouTube、X(旧Twitter)、Instagram、Facebook、TikTokなどが挙げられます。それぞれユーザー層や利用文脈が異なるため、ターゲットに合ったメディア選定が重要です。YouTubeは動画プラットフォームですがSNS的な要素も持つため、後述の動画広告と合わせSNS戦略に組み込めます。
SNS広告成功のポイントは、ターゲティングとユーザーとのエンゲージメントです。年齢・性別・興味関心といったセグメントで配信先を絞り込み、ユーザーに響くクリエイティブを作成しましょう。単に商品を押し付けるのではなく、ユーザーに共感や驚きを与えるコンテンツを意識すると良いでしょう。例えば、短い動画でユーモアを交えて商品特徴を伝える、ハッシュタグキャンペーンで投稿を促す、アンケート機能で参加型にする等、ユーザー参加型の仕掛けが効果を高めます。SNS運用と広告を連携させた総合的なソーシャル戦略が求められます。
動画配信・ストリーミング広告の台頭
オンライン動画の視聴は年々テレビに近づいており、広告媒体としての存在感が高まっています。実際、YouTubeは月間アクティブユーザーが6,000万人超と推定され、日本人の半数以上が利用するサービスです。またNetflixやAmazonプライム・ビデオなどの動画配信サービスの利用も拡大しており、2025年の調査結果で定額動画サービス利用率が64.3%に達したと報告されています。また見逃し配信サービス「TVer」の利用率も、2025年調査で約6割と言われており、テレビでリアルタイム視聴するだけでなく、スマホやPCでオンデマンド動画を見る習慣が定着していることが分かります。実際、多くのテレビはネット接続され 、「テレビでネット動画を見る」「スマホでテレビ番組を見る」などスクリーンとコンテンツの組み合わせが多様化しています。
オンライン動画広告は、テレビCMと同様のリーチ獲得効果が期待できる一方で、デジタルならではの細かな成果計測(視聴回数、視聴維持率、クリック率など)ができるため、PDCAを回しやすい利点もあります。
膨大な動画コンテンツの中で広告を最後まで見てもらうには、ファースト3秒で視聴者の注意をつかむ必要があります。テレビ的な文法にとらわれず、冒頭からインパクトある映像やテキストで惹きつけ、その後にブランドメッセージや商品価値を伝える構成が有効です。また、移動中にスマホで見る人もいるため、音声無しでも内容が伝わる設計(字幕やテロップの活用)や、逆にイヤホン視聴している人向けに高音質・ASMR的な効果音を工夫するなど、視聴状況に配慮したクリエイティブも重要でしょう。
さらに、動画配信ならではのリマーケティングも活用できます。例えば自社サイトに訪れた人に対し、後日YouTube広告で関連商品の動画を見せフォローする、といったクロスプラットフォーム施策も可能です。今後も動画視聴時間の増加は続くと予想されるため、ブランド訴求×動画広告×ターゲティングを組み合わせた手法で存在感を高めていくことが重要です。
検索エンジン広告(リスティング)の活用
調べたいことがあったら検索する(ググる)習慣が根付いた現代において、検索エンジン広告(リスティング広告)は欠かせない集客手法です。前述したSNSや動画配信サービス以外でも、インターネット利用目的の上位には必ず「情報検索」が挙げられています。
検索広告の最大の特徴は、ユーザーの検索キーワードによって興味関心や購買意図が明確になる点です。たとえば「○○ 価格比較」「△△ 口コミ」といった検索をした人には、その商品購入を真剣に検討している顕在層が含まれます。そのため、リスティング広告は効率よくサイト誘導やコンバージョン(資料請求・購買など)に繋げることができます。キーワード単位で予算調整もでき、費用対効果を細かく測定して改善することが可能です。
ただし検索広告は即効性が高い反面、継続的な運用管理と最適化が求められます。入札単価の調整、成果の高いキーワードの選定、広告文の改善、ランディングページの最適化など、PDCAを回して成果を維持・向上させる運用型広告です。人気キーワードではクリック単価が高騰しがちで、大企業との競争になると中小企業には不利な場合もあります。その場合はロングテールキーワードを狙う、地域名や具体的な用途を含む語に絞るなど工夫すると良いでしょう。
さらに、検索連動型(リスティング)以外にもディスプレイ広告(GDN/YDN)によってウェブ上の様々なサイトにバナーを出す方法もあります。このディスプレイネットワーク広告では行動ターゲティングやリターゲティングも可能で、検索で捕まえきれない潜在ユーザー層への認知拡大に役立つでしょう。
Web閲覧(オウンドメディア・コンテンツ)と広告展開
インターネット上での情報収集はSNSや検索だけでなく、さまざまなウェブサイトによっても行われています。ニュースサイト、ブログ、まとめサイト、企業のオウンドメディアなど、人々は興味ある記事やコンテンツを閲覧しています。こちらも「ホームページ・ブログの閲覧」はネット利用目的の第6位にも入っています。企業にとってこの領域でのマーケティングは、広告出稿だけでなく自社コンテンツの発信も含めて考える必要があります。
まず広告としては、先述のディスプレイ広告(バナー広告)が代表的です。前述したGDNやYDNなどディスプレイネットワーク広告以外にも、ネイティブ広告(記事の体裁に溶け込んだ広告)やコンテンツディスカバリー(記事下の「おすすめ情報」枠に表示される広告)も普及しています。これらはユーザーの興味を引きやすく、クリックされやすい形式と言われます。これらの広告をクリックする人は、必ずしも購買意欲が高い状態ではありませんが、潜在層との接点を作ることができます。単なる宣伝ではなく役立つ情報提供型にすることで、広告への抵抗感を減らしつつ関心を喚起できます。
さらに重要なのが、企業自身が良質なコンテンツを発信すること(コンテンツマーケティング)です。ユーザーに有益なブログ記事、ノウハウ資料、ホワイトペーパー、動画解説などを自社サイトやオウンドメディアで公開し、SEO(検索エンジン最適化)やSNSによって見込み客を呼び込む手法です。こうしたオーガニック集客は時間がかかりますが、広告費を抑えつつ顧客とのエンゲージメントを深める上で有効です。
ただしウェブ上には情報があふれているため、埋もれない工夫も必要です。専門性の高い独自データの公開や、インフォグラフィック・動画を使った視覚的なコンテンツなど、「このサイトは他と違う」と思わせる質と工夫が求められます。
チャネル横断の戦略とブランディング vs. ダイレクトのバランス

最後に、複数チャネルを横断した戦略的な使い分けと、ブランディング目的の広告とコンバージョン目的の広告(ダイレクトレスポンス広告)のバランスについて考えてみましょう。現代の消費者はテレビもネットも複合的に利用しており、コンバージョンへの経路(カスタマージャーニー)が多様化しています。一つのメディアだけで認知から購入まで完結することは少なく、例えば、テレビCMで商品を知り、スマホで検索し、SNSで評判を見て、ECサイトで購入するといったように、複数のメディアを経るのが一般的です。そのため企業側も、各チャネルの特性を理解した上で、一貫したメッセージを届けるコミュニケーション戦略が求められます。
チャネル横断戦略のポイントは、「役割分担」と「連携」です。例えば、テレビや動画広告で広く認知・興味喚起を行い、検索やSNSで比較検討段階のユーザーをフォローし、最終的にWebサイトや店舗で購買・問い合わせに繋げるという流れを設計します。それぞれの段階で最適なチャネルを使い分け、伝えるべきブランドメッセージ(強みや世界観)は統一し、ユーザーがどこで接点を持っても一貫したブランド体験が持てるようにします。
次に考えるべきが、ブランディング目的の広告とコンバージョン目的の広告の役割を明確にして配分することです。ブランディング広告とは、すぐの購買促進よりも長期的な認知向上やブランドイメージ醸成を目的とした広告で、テレビCMや大型ビジョン、あるいはタイアップ動画やディスプレイ広告などが該当します。一方、ユーザーのコンバージョン(資料請求や購買、サイト来訪など)を狙うダイレクトレスポンス広告では、検索連動広告やSNSのクリック誘導型広告、クーポン配信などが挙げられます。
マーケティングにおいて、このブランドとレスポンスのバランスを最適化することは大切です。極端な例ですが、短期的な売上獲得に追われすぎて、広告が全てクーポンや値引き訴求ばかりになってしまうと、価格競争に陥り長期的な売上が伸びなくなることがあります。他社と差別化されたブランドの世界観や価値を発信する広告を打ち出すことで、多少価格が高くても「このブランドが良い」と選んでもらえるファン顧客を増やすことができます。一方でブランディングばかりに集中すると、購入促進策が弱くなって売上に直結しないため、継続的なブランディング広告も続かなくなってしまうケースもあります。
一般的には全体予算の中で「ブランド目的:レスポンス目的=6:4」程度に配分するなどと言われることもありますが、会社の規模や商品やサービスのフェーズによって大きく変動します。
重要なのは、それぞれの広告チャネルを別々のものとして考えず、連動させる視点です。自社ブランドを育てながら売上も上げていく“二刀流”マーケティングが求められています。
データに基づきつつ柔軟な発想を
現代のメディア接触実態をデータから読み解くことで、効果的な広告・集客戦略のヒントが見えてきます。人々が時間を費やすメディアはどこか、属性による違いは何かを押さえた上で、テレビ・スマホ・SNS・動画・Webといったチャネルを使い分け、組み合わせることが大切です。公式統計や調査データを活用することで根拠ある施策立案が可能になりますが、最後は自社の商品や顧客に照らしてカスタマージャーニー(ユーザーのCVまでの道筋)を描き、最適なメディアプランを設計することが大切です。
データに基づき、チャネル横断で一貫性と柔軟性のあるマーケティング戦略を組み立てることが、これからの時代における成功のカギと言えます。また、常に新しいトレンドや技術革新にもアンテナを張り、アップデートを続けていきましょう。
もし、大学生など若年層へのマーケティングをお考えであれば、大学生集客に特化したガクセイ協賛が有効です。登録している全国800大学8,000団体以上の学生の中から貴社のターゲットに合わせてアプローチできます。アンケートの収集も可能です。
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