マーケティング活動の1つとして知られている「サンプリング」。
今さらその意味を聞くことができなくて悩んでいませんか?
本記事では、マーケティングにおける「サンプリング」の言葉の意味から目的・効果、成功のポイントを解説します。
サンプリングとは
「サンプリング」とは、消費者に無料で商品やサービスを配布し、使用してもらうことで需要を増加したり口コミを拡散してもらったりするためのプロモーション手法を指します。消費者に「サンプル」を配布することで、実際の使用感を確かめてもらい、商品のメリットを実感してもらうことで購入などのアクションへとつなげるのです。
サンプリングが効果的な商品
サンプリングでは、実際の商品をサンプルとして配布しますが、これには「サンプリングに向いている商品」と「サンプリングには向いていない商品」があります。
具体的に以下のような「繰り返し使用(購入)する」という特徴がある商品がサンプリングに向いているといえます。
- 食品、健康食品
- 飲料
- 化粧品
サンプリングに向いていない商品をサンプリングに投入しても、相応の効果を実感することは難しいでしょう。自社のビジネスモデルや取り扱っている商品の特徴を把握して、サンプリングに向いているかどうかを判断したうえでサンプリングを実施してください。
サンプリングで配布するもの
- 正規品をスケールダウンさせた試供品(サンプル)
- 通常プランをスケールダウンさせた体験型プラン(クーポン・割引)
- 製品やサービスのロゴがプリントされたノベルティ
- サービスや商品を紹介するチラシ
サンプリングでは、「試供品(サンプル)」を配布します。例えば、本来の商品容量が100グラムであるのに対して、試供品の容量は20グラムに抑えるなど、基本的に正規品よりもスケールダウンされたものを試供品として配布するのです。
このような試供品の配布が一般的ですが、具体的に何を配布するのかはサンプリングの目的や対象となる商品によって異なります。
例えばチラシやノベルティなどを配布することもあります。これは、サンプリングしたい商品の性質上、スケールダウン等が難しくて試供品に加工できない商品(例:電化製品・デバイス)をサンプリングしたい場合に用いられるケースが多いです。
サンプリングの対象
サンプリングの「対象となる人」は、細かく区切らずに幅広い層を対象にサンプリングを行うこともあれば、特定のターゲット層に絞り込む場合もあります。
例えば誰にでも購入されやすい飲料水や食品の場合ですとターゲットを絞らずにサンプリングすることが多いです。一方、文房具のような使用する客層が絞られる場合だと、その客層をターゲットとして設定してサンプリングを行うことが効果的です。
どの程度サンプリングの対象を絞り込むかは、サンプリングしたい商品の特性やターゲットなど、さまざまな要因によって決定します。多くの場合、ターゲットを明確にしてサンプリングを行う方がマーケティングとしては効果的なのですが、一方で絞り込んだターゲットの設定が間違っていた場合にはほとんどマーケティング効果がなくなってしまうというリスクもあるでしょう。
サンプリングによる4つの効果【メリット】
サンプリングは”無料”でサンプルを配布するので、コストだけかかって見返りはないように思われます。それでも企業がサンプリングを実施するのには、以下の3つの効果があるからだと考えられます。
1.認知拡大効果
1つ目は「認知拡大効果」です。
どれだけ優れた商品やサービスがあったとしても、それが知られていなければ売れることはありません。商品を売りたいと考えるのであれば、その商品の存在を知ってもらうところからスタートしなければならないのです。
サンプリングを実施することによって、その商品の存在を知ってもらうだけでなく、実際に使ってみた感想を生み出す効果も期待できます。サンプリングで商品の良さを知った消費者が口コミなどで評判を広めてくれることで、より多くの消費者に商品のことを知ってもらうこともできるでしょう。
2.購買促進効果
2つ目は「購買促進効果」です。
人は商品を購入する際「未知の商品を購入することで失敗をしたくない」と考えます。お金を払って購入するわけですから当然です。
サンプリングでは実際の商品(スケールダウンしてはいますが)と同じ試供品を無料で試すことができるので、消費者はお金をかけることなく「商品の実際の使用感や価値」を把握することができます。その結果、消費者は本当にいいものであると知っているから安心して購入することができるようになります。
3.市場調査に役立てられる
3つ目に「市場調査に役立てられる」ことです。
上記の効果は基本的に「プロモーション効果」です。商品を知ってもらい、購入してもらうまでのプロセスにおいてサンプリングが機能しますが、それらとは別に「カスタマーマーケティング」の側面においても役立つというメリットがサンプリングにはあります。
サンプリングでは、対象となる消費者から実際に使ってみた感想を集めることができます。これは「リアルな意見」として、商品の改善や、今後の商品開発に参考になる貴重な意見としてビジネスに良い影響をもたらしてくれるでしょう。
4.アナログ層にアプローチできる
サンプリングは基本的にはオフライン上での施策です。そのため、オンライン施策ではリーチできないアナログ層にアプローチできることが特徴と言えます。
ターゲットの特徴としてオンライン施策が刺さらない場合や、アナログ層に網羅的なアプローチをしたい場合にもサンプリング施策は有効となります。
サンプリングの注意点【デメリット】
サンプリング施策には、メリットだけでなくデメリットもあります。以下では代表的な2つのデメリットを解説します。
適切なセグメント分析が必要
上述でも述べた通り、サンプリングを行うには適切なセグメント分析が必要となります。
路線や駅などから集まるユーザーの属性を考慮して、自社製品・サービスのターゲットに上手くリーチできなければ、施策の効果は薄れ、プロモーションコストの無駄使いになってしまう可能性もあります。
配布スタッフの人件費や育成
サンプリングを行うには配布担当者が必要となります。
1人につき1つの提供を行うため、到達率が高い、その場での営業効果やナーチャリング効果が高いなどの特徴がありますが、リーチ数/コストは高くなってしまいます。
また、配布担当者を決定する際は「マナー面」や「商品知識」についての教育をする必要があります。
サンプリングの手段
最後に、実際にサンプリングを行ううえで、どのような手段があるのかについて、7つの方法に分けて解説します。
街頭サンプリング
1つ目の方法は「街頭サンプリング」です。
街頭サンプリングとは、街頭で試供品などを配布する方法になります。主に、ターゲットの集まる店頭や施設の周辺で行われ、ターゲットに対し直接手渡しで配布します。そのため、サンプリングの対象となるターゲットおよびサンプリングを実施する場所の設定は慎重に検討する必要があります。
街頭サンプリングでは、サンプリングを行う「時間帯」の設定も重要なポイントになります。例えばターゲットが学生や通勤中の社会人の場合であれば、通学や通勤の時間帯に多くのターゲットと出会うことができるでしょう。ターゲットの行動時間に合わせるため、事前に路上調査をすることによって効率の良い場所や日時の条件でサンプリングを実施するようにしましょう。
ルートサンプリング(イベントサンプリング)
2つ目は「ルートサンプリング(イベントサンプリング)」です。
ルートサンプリングとは、販売に関連のある「ルート」に基づいて、消費者に対してサンプリングを行う手法になります。主に店舗や商業施設のように、ターゲットとなる消費者が集まりやすい場所を基準とすることで、効果を発揮します。
ルートサンプリングでは、店舗・施設の受付やカウンターなどに試供品の設置場所を確保して無料配布する方法や、人員を確保して手渡しで配布する方法があります。試供品の性質から潜在層を見極めることと、ターゲットが集まるであろう場所を見極めることがサンプリング成功の鍵となります。
イベントサンプリングとは、特定の催し事と連携し会場や施設内でサンプリングを行う方法です。イベントの来場者層と商品・サービスのターゲット層がマッチする場合は有効な手法となります。
ガクセイ協賛では対象を学生に絞り込んだサンプリングをご提案しています。例えば、学校内サンプリングや学園祭サンプリングなど、学生に向けたサンプリングにご興味あればご相談ください。
オフィスサンプリング
3つ目は「オフィスサンプリング」です。
オフィスサンプリングとは、ルートサンプリングの一種であるとも考えられますが、要するに会社員が働いているオフィスや会社内の社員食堂などでサンプリングを行う手法を指します。
ビジネスマンだけにセグメントを絞ることができるため、サービスや商品のターゲットが会社員に限定される場合、サンプリングとしては極めて高い効果を発揮することになります。ただし、ビジネスマンだけを対象とする性質上、多くの方の意見を集めたい場合、別の手法を組み合わせないと十分なサンプリング効果を得られない可能性があります。
店頭購入型サンプリング
4つ目は「店舗購入型サンプリング」です。
これは、店舗で実際に商品を購入してもらうサンプリング方法です。
多くの場合は、会員サイトなどでどの商品がサンプリング対象となるのかを告知します。商品を購入してれた方には、ポイントを付与することで還元を行うため、購入者は実質無料で商品を試してみることができます。
「POSデータ(レジで集められる情報)が収集できるため、リピート購入計測したり、施策の効果測定ができること」・「消費者が実際に店舗まで足を運んでくれるため、実店舗の場所や商品の場所、店員の接客態度などの情報を把握してもらえること」などが購入型サンプリングの主な特徴です。
メディアサンプリング(SNSサンプリング)
5つ目は「メディアサンプリング(SNSサンプリング)」です。
これは、WEBや雑誌、新聞、最近ではSNSを活用してサンプルの試用を呼び掛けるサンプリング手法になります。WEBやSNSを利用したサンプリングはコストパフォーマンスが高く、サンプルを送付したい相手の連絡先を知らなくてもサンプリングできる点が大きなメリットです。
また、呼びかけに対して消費者が応じる形になりますので、必然的にその企業や商品に対して少なからず興味関心を持っている層に対してアプローチできます。SNSの場合、ターゲットが自社のフォロワーであれば良い印象を持たれやすいのですが、そうでない場合は逆に悪い印象を持たれる可能性がある点には注意が必要です。
ダイレクトメールサンプリング
6つ目は「ダイレクトメールサンプリング」です。
これは、ダイレクトメールと一緒にサンプルを同封してサンプリングを行う手法になります。すでに顧客リストが会社にある場合は、新規に送付先を探さなくて済むので容易に配布することが可能です。
しかしサンプリングする顧客リストが確保できていない場合、送付先を探すステップを踏む必要があるので消費者がサンプルを受け取るまでに時間がかかってしまいます。時間短縮のため、自社の顧客情報を整理しておき、サンプリングする顧客リストを確保しておくことをおすすめします。
インフルエンサーサンプリング
7つ目は「インフルエンサーサンプリング」です。
インフルエンサーにサンプルを配布し、レビューをSNSなどで発信してもらうことでサンプリングを行う手法になります。 PRしたい商品やサービスとの関連性が高いインフルエンサーを起用することで、高いマーケティング効果を発揮する手法でもあります。
従来はフォロワーの人数だけが起用するインフルエンサーの基準になっていましたが、現在ではインフルエンサーとフォロワーの関係性が重視されつつあります。また、インフルエンサーを活用する際には事前に興味のあるインフルエンサーを公募することで、商品に対してより熱意を持っているインフルエンサーを起用できる可能性を高めることが可能です。
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