【図表でわかる】広告協賛金の仕訳方法と勘定科目!受取り支払いケース別

企業が何らかの団体やイベントに「協賛」する場合、会社のお金や品物が動くことになります。

会社のお金が動くということは「仕訳」をして決算報告しなければならないということです。本記事では、広告協賛金の仕訳方法・勘定科目について解説します。

 

〜 学生集客のためのガクセイ協賛の事例 〜
学生を集客する方法のひとつに「協賛」があります。
その「協賛」にもさまざまな種類があり「何ができるかよくわからない」という担当者様がほとんどではないでしょうか。
イメージできるように、実際の活用事例を簡単にご紹介しています。ぜひご参考ください。
協賛の活用事例を確認する

 

協賛金の勘定科目早見表

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広告協賛金は、「支払う側」と「受け取る側」それぞれに経理的な処理が必要です。また、協賛のシーンごとに勘定科目や、受け取り側の課税の有無なども異なります。以下の表で要点をまとめてみました。

なお、詳細について知りたい方は本記事を読み進めてください。

  支払う側 受け取る側
シーン・目的 勘定科目 損金 勘定科目 消費税
不特定多数への広告宣伝 広告宣伝費 可能 協賛金収入 課税
事業に関係する接待や贈答 交際費 不可 雑収入 対象外
事業に関連しない寄付 寄付金 区分により可能
区分により上限あり
雑収入 非課税
企業が加入している団体に支払い 諸会費 可能 雑収入 非課税

協賛金を支払った場合の仕訳方法と勘定科目

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広告協賛金を「支払う側」つまり協賛企業側では、シーンによって以下の4種類の勘定科目いずれかが発生することになります。

  • 広告宣伝費
  • 交際費
  • 寄付金
  • 諸会費

この区分で重要なポイントの1つは「損金」(経費のように売上から差し引くことができる、ようするに税金対策)として処理できるかどうかです。

【損金とは?】
経費のように売上から差し引くことができるお金のこと。売上100万円、損金10万円なら90万円の所得として計上できます。(消費税・法人税対策になります)

早見表の「広告宣伝費」ように、損金算入できる方法でなるべく計上したいのですが、条件を満たしていなくては認められません。

適切な経理処理のためには、どのシーンにおいてどの勘定科目になるのかを明確に把握しておく必要があります。

協賛金を広告宣伝費として処理

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「広告宣伝費」とは、通常は会社の商品・サービスを不特定多数の消費者に対して販売するために必要な広告・宣伝にかかる経費(勘定科目)のことです。また、イベント協賛のように会社のイメージアップに必要な広告宣伝に支払った金額についても、広告宣伝費として処理できます。

また、長期的に協賛する場合は総支出を期間按分して処理します。決算年度をまたぐ場合などは注意しましょう。

協賛活動では、協賛金を支援する代わりに、イベント内やパンフレット等で宣伝してもらうといった場合に、この勘定科目が該当します。

広告宣伝費の仕訳例

例えば「イベントの協賛金を、法人口座から振り込んだ」という場合には、以下のような仕訳が発生します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
広告宣伝費 20,000円 普通預金 22,000円
消費税 2,000円

広告宣伝費として処理した場合の損金について

協賛金が広告宣伝費に該当する場合は、「損金」として処理することが可能です。

ただし、協賛の価値が実態に見合わない場合には損金として認められないケースもありますので注意しましょう。

協賛金を交際費として処理

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交際費とは、法人が得意先・仕入先その他事業の関係者に対して接待や贈答その他これらに類する行為のために支払った経費(勘定科目)のことです。

広告宣伝費の場合と比較して「事業の関係者を対象とする」という点で大きく異なります。

例えば「会社の得意先が主催するイベントに協賛金を拠出した(イベント内で企業名の掲載などはない)」という場合には、この勘定科目を使用します。

交際費の仕訳例

協賛金が交際費になる場合、以下のような仕訳が発生します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
交際費 20,000円 普通預金 20,000円

交際費として処理した場合の損金について

損金として計上することはできません。

飲食接待費(資本金1億円以下の企業で年間800万円まで)など一部例外として、特別に損金算入が認められるケースもありますが、協賛金においては損金計上できないと覚えておくと良いでしょう。

協賛金を寄付金として処理

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「寄附金」とは、事業とは直接関係ない団体に対して「見返りを求めず」に金銭の供与などを行った場合の経費(勘定科目)です。

広告協賛などの見返りを求める場合には「広告協賛金」として広告宣伝費の扱いになるので注意しましょう。

協賛活動においては、「地域の慈善事業に対して、広告等のリターンを前提とせずに資金拠出を行った」という場合に該当します。「NPO法人の活動に協賛金を支出した」など一般的な”寄付”のイメージで資金提供した場合に、この勘定科目になりやすいと覚えておくといいでしょう。

寄付金の仕訳例

寄附金を拠出する場合には、以下のような仕訳が発生します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
寄付金 20,000円 普通預金 20,000円

寄付金として処理した場合の損金について

寄付金は「国や地方公共団体への寄付金」、「指定寄付金」、「特定公益増進法人への寄付金」、「一般の団体や組織への寄付金」の4種類にさらに細かく区分されます。

そのうち「国や地方公共団体への寄付金」と「指定寄付金」は基本的に損金算入が認められており、残りの「特定公益増進法人への寄付金」と「一般の団体や組織への寄付金」については損金算入の可能額に上限があります。

損金算入可能額の上限を計算する方法については、以下のサイトを参考にしてください。

参考サイト:寄附金を支出したとき|国税庁

協賛金を諸会費として処理

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「諸会費」とは、会社が所属している自治会や商工会に支払う会費の勘定科目です。
企業が所属する団体に対して支払うこと、支払いの名目が会費の支払いであることが条件となります。

諸会費の仕訳例

諸会費を支払う場合には、以下のような仕訳が発生します。

借方科目 借方金額 貸方科目 貸方金額
諸会費 20,000円 普通預金 20,000円

※金額や支払い頻度等の条件によっては「雑費」として処理できる場合もあります。

諸会費として処理した場合の損金について

諸会費を支払った場合には、損金算入は一応は可能です。

ただし、協賛金を渡すイベントが事業に関連してないと損金算入が認められないため、協賛対象の性質を良く見極めたうえで処理するようにしましょう。

協賛金を受け取った場合の仕訳方法と勘定科目

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協賛金を「受け取る側」についても仕訳が発生します。

イベント事業をしているなど、協賛金の収益が本業である場合は「売上高」として処理します。本業でない場合は雑収入として処理します。雑収入をわかりやすく処理したい場合は、協賛金収入などの勘定科目を作ってもいいでしょう。

勘定科目の区分については「支払い側に合わせる判断」で良いでしょう。後々のトラブルを避けるためにも、どの勘定科目で処理するかを、事前にきちんとアナウンスしておくべきです。

協賛金の消費税の処理について

上記の内容と重複する点も多いのですが、あらためて勘定科目ごとの消費税の課税の有無について簡単に解説しておきます。

  • 広告宣伝費として支払われた場合:売上高 or 雑収入として処理(消費税の課税対象)
  • 交際費として支払われた場合:雑収入として処理(消費税はそもそも対象外)
  • 寄付金として支払われた場合:雑収入として処理(消費税は非課税)
  • 諸会費として支払われた場合:雑収入として処理(消費税は非課税)

基本的に消費税の扱いは「課税」「非課税」「対象外」の3つですが、課税の有無で見ると「協賛金収入」の場合のみ消費税の課税対象であるという点に注目しましょう。

それ以外の場合は対象外または非課税なので、消費税のことは考えなくて済みます。

物品協賛の場合はどうなるの?

最後に補足として、行われる協賛内容が「物品協賛(現物を提供することで協賛を行う方法)」の場合の扱いについて簡単に解説しておきます。

結論を述べると、物品協賛の場合も資金協賛の場合と同じく「協賛対象との関係」や「広告宣伝の有無」などの条件によって勘定科目を区分してください。金額については物品購入にかかった費用を記載します。

ただし面倒なのが「金券」であり、税法上の取扱いが少し面倒なので、税理士などの専門家に確認をとって適切に仕訳処理を行うことをおすすめします。

協賛金仕分けのポイントまとめ

ここまで解説した通り、協賛金の仕分けには細かなルールがあります。
処理方法を間違えてしまうと、税務上のミスが発生し大きな手戻りが発生する可能性もあります。

最後に協賛金仕分けのポイントをまとめておいたので、ぜひ参考にしてください。

チェック項目を設けておく

協賛金が発生したとき、社内の誰が担当したとしても同じ思考で処理計上ができるようにチェックリストを用意しておくことが大切です。

チェックリストは以下を参考にしてください。

不特定多数への広告宣伝効果があるか?
┗YES:『広告宣伝費』
┗NO:事業に関係がある支出か?
┗YES:会費としての性質があるか
┗NO:『寄付金』
┗YES:『諸会費』
┗NO:『交際費』

会計ソフトや専門家を利用する

協賛金の処理は判断するポイントが多く、社員の判断だけに依存をすると会計区分を間違えてしまうリスクがあります。

そのため、 会計ソフトを利用して協賛金のパターンを記録しておき、だれでも処理できるようにするとリスクを減らすことができます。
会計の型を作る際は会計士に相談をするなど、専門家の協力を得るとより安心できます。

協賛には様々なものがありますが、大学生向けの協賛プラットフォーム「ガクセイ協賛」は、800大学5500団体が利用しています。こちらはほとんどのケースが経費計上可能です。協賛にご興味ある方は参考にしてみてください。

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