商品やサービスの性質によっては「学生」をターゲットに絞ったマーケティングを実施することで、ビジネスを加速させることができます。ターゲットが明確に決まっているのであれば、マーケティング手法もそれに合わせる必要があるでしょう。本記事では、学生向けのマーケティングを成功させるためのコツについて解説します。
学生マーケティング(Z世代マーケティング)とは?重要性を解説
「マーケティング」とは、厳密な定義が難しい言葉ではあるのですが、商品やサービスが売れるための仕組みを作る、一連の作業のことを指します。
商品が生まれてから、お客様の手に届くまでのプロセスをザックリと分けると、「市場調査」「広告宣伝活動」「効果測定」となるでしょう。本記事における学生マーケティングとは、これらのプロセスを学生にフォーカスして行うことを指します。
学生(Z世代)の人口・世代交代の時期
現在の高校生・大学生を中心としたZ世代は、世界人口の1/4〜1/3(Z世代を何年生まれとするかの定義による)を占めると言われています。人口規模に比例して市場規模・労働力にも注目されており、世界的には重要なターゲットとして扱われています。
しかし、日本では学生(Z世代)マーケティングが軽視されている傾向があります。
それは日本の人口構成が世界的には異質であるためです。総人口12,495万人に対して、Z世代にあたる1996年〜2012年生まれの人口は1,965万人であり比率は16%と世界人口の比率よりも大幅に低い現状です。
しかし、世代の交代は確実に起こります。目の前でなく長期的な収益アップや人材確保を考えるのであれば少しずつ学生(Z世代)マーケティングを取り入れていく必要があります(グローバルな取り組みを行う企業であれば直近での対策が必要です)。
学生(Z世代)の市場規模
経済産業省によると、世界でZ世代の人口が占める割合は2020年時点で24%、購買力は15兆円にのぼっています。
公開されているオフィシャルなデータは見つけられず、日本単独の具体的な数値はわかりませんが、世界経済(GDP)に占める日本の割合を5%とすると、0.75兆円程度の市場規模があることが推測できます。
購買ターゲットとしてどうしてもお金を持っているシニア層に注目してしまいがちですが、現状の市場規模は大きく、なおかつ今後も成長が見られることを予想すると、何かしらの対策は必要となってくるでしょう。
学生(Z世代)の購買に関する7つの特徴
学生(Z世代)に対応するには、従来のマーケティング手法を継続するだけでは物足りない可能性があります。
なぜなら、我々と学生(Z世代)とではモノの見方・考え方が異なるからです。以下に学生(Z世代)の特徴をまとめてみました。
- デジタルリテラシーが高い
- 所有に対する価値が低い
- 体験を重視する
- 多様性がある
- コストパフォーマンスを重視し、価格にシビア
- タイムパフォーマンスを重視し、時間にシビア
- 社会問題や環境問題への関心が高い
デジタルリテラシーが高い
学生(Z世代)は生まれたときから、インターネット環境が整った状態でした。そのため、情報収集や発信はWEB上で行われることが多いです。
所有に対する価値が低い
学生(Z世代)は自分で商品を購入することよりも、サービスを活用することを重視します。パッケージモデルではなく、レンタルやリース、サブスクリプションといった利便性の高いサービスが求められます。
体験を重視する
学生(Z世代)は購買行動に付随する体験を重視する傾向があります。旅行やアクティビティなどリアルでの体験を求めたり、モノよりもコトに価値を見出します。モノを購入する際も、空間演出や接客、人とのつながりなど付随する体験が購入の意思決定の要素として考慮されます。
多様性がある
情報収集が容易な時代に生まれた背景から、考え方の違いや個人を尊重する傾向があります。流行やトレンドを作り出す動きよりも「自分に合った」をアピールできることが消費行動に影響を及ぼすかもしれません。
コストパフォーマンスを重視し、価格にシビア
不況下で育ったという背景から、価格にはシビアという傾向があります。商品やサービスの理解を深めて自分の中で納得しない限り、購入行動には至らない可能性が高いです。
タイムパフォーマンスを重視し、時間にシビア
タイムパフォーマンス(タイパ)とは、時間対効果を意味します。例えば、結果や結論を先に知ってから、詳細を知るための時間を割くか判断します。学生(Z世代)は時間的な効率性を重視するため、無駄な時間を費やすことを嫌います。アプリで完結など、利用までの手順を省いたサービスが好まれる傾向があります。
社会問題への関心が高い
震災やジェンダー問題、環境問題など様々な問題が発生し、改善が訴えられてきた環境で育った現在の学生は、こうした社会問題への関心が高い傾向があります。リクルートやプロモーションを進める際は、企業や取り組みが地球の持続可能性にどう影響するのかを発信する必要があります。
学生向けマーケティング成功のため「企画」のコツ
学生向けのマーケティングであったとしても、基礎部分でやることは変わりません。まずはマーケティングに関する基礎知識について解説します。
セグメンテーション
セグメンテーションとは、日本語で「区分」という意味ですが、ビジネスでは「市場の細分化」という意味で用いられます。消費者の業種や業態、売上規模や地域、年齢や趣味趣向、過去の行動データなどをもとにして顧客を細分化することをいいます。
ターゲティング
ターゲティングとは、セグメンテーションで細分化された市場の、どれを対象とするかを決めることです。自社や自社製品の強みを活かせる市場を選ぶことで、売上アップなどの効果を期待できます。
商品価値の差別化
商品価値の差別化とは、商品価値や他社優位性を保つことです。どのように訴求するかをニーズに合わせて決めることにより、自社製品のポジションを確立し、市場において過度な価格競争に陥らないようにすることが重要になります。
提供方法の決定
提供方法の決定では、4P分析(「製品・サービス(Product)」「価格(Price)」「立地・流通・販路(Place)」「販促・広告(Promotion)」)を行います。セグメンテーションとターゲティング、商品価値の差別化で得られた「対象とする顧客と提供する価値」を、忠実に具体化して、どのような価格や流通経路で消費者に提供するかを決定します。
学生向けマーケティング成功のため「市場調査」のコツ
学生向けの市場調査においても、基本的なマーケティングのコツは変わりません。ただし「セグメンテーション」における市場分析方法は、学生ならではの工夫が必要になります。そこで、以下の3つの手法について解説します。
学生向けアンケートリサーチ
「学生向けアンケートリサーチ」では、学生を対象としてアンケートを実施し、得られたデータをもとにして市場分析を行います。昨今ではオンラインを利用したアンケートも実施可能であり、学生の住所を問わずにアンケートを実施できる点がメリットです。
学生向け座談会
「学生向け座談会」では、学生を対象として座談会やグループインタビューなどを実施します。座談会では「グループダイナミクス(参加者の相互作用)」が期待でき、一般的なリサーチ手法では得られない深い情報やイマジネーションに富んだ情報が得られる可能性が高いです。
学生向けマーケティング成功のため「プロモーション」のコツ
前章と同様、学生向けであったとしても基本的なマーケティングのコツは変わらないのですが「提供方法の決定」におけるプロモーション方法は、学生ならではの工夫が必要になります。そこで、以下の4種類のプロモーション方法について解説します。
SNSを活用する
プロモーションでは多くの母数を対象とすることが重要です。ターゲットを学生に絞ってプロモーションを行うのであれば、10代〜20代の利用者が多いSNSサービスを活用することが効果的です。
具体的にTwitterやInstagram、Facebook、YouTubeやTikTokなどが挙げられます。SNSと言ってもそれぞれ特性があり、一般的には、FacebookよりもTwitterやInstagramのほうが学生の利用率が高くなります。また、TikTokは利用者の中で10〜20代の利用者の割合が圧倒的に多く、短時間(10-15秒程度)の動画に向いています。特性や属性を理解した上で、自社に合うSNSを情報発信のチャネルとすることが大切です。
WEB媒体を活用する
SNS以外では、WEBも学生(Z世代)に対して効果的に情報を発信できる媒体として注目されています。具体的な手法としては「オウンドメディア(自社で運営するWEBサイト)」や「WEB広告」が挙げられます。
オウンドメディアは発信する情報の自由度が高い点や、運用コストを抑えられる点、サービスとしての価値がありマネタイズにも活用できる点がメリットです。一方、WEB広告はスピード感がある点や、構築に時間がかからない点がメリットとしてあります。
アプリ(インゲーム広告)を活用する
Z世代が好むゲームを活用する方法もあります。WEB広告をブロックするツールの影響を受けづらいことや、ネット検索やSNSではメッセージが届きにくい層へのアプローチができる点が強みです。
手法として、ゲーム画面上に一定時間広告を表示させる方法やアイテ
話題性のある企画する
学生のトレンドを把握することで、流行をおさえた話題性のある企画を実施することができます。最近であれば「ハッシュタグ」を利用したキャンペーンや、参加者に大きなメリットを与えるキャンペーンなどが、例として挙げられます。このようなインパクトのある企画を実施すれば、自然と情報が拡散され、少ないコストで多くの学生に対してプロモーションを行うことができるでしょう。
学生タイアップ企画を組む
「学生タイアップ企画」とは、学生とコラボレーションして企画を実施します。
企業側には、学生ならではの柔軟な発想やアイディアを得られるというメリットがあります。そのほか有名大学とタイアップすること自体が話題性を生むこともあります。多数のメディアに取り上げられることになれば、学生への認知拡大にもつながります
学生団体にアプローチする
学生団体にアプローチすることで、関連する学生との強力な接点を確保することができます。例えば、学生団体への支援を行うことで、見返りとしてイベント内やホームページなどでプロモーションをしてもらっている企業もあります。学生に対して何をしてあげるのか、集めた学生と連携して何をするのかなど、かなり自由度は高いですが、学生本人が情報発信に協力してくれるという点は魅力的です。
<学生団体にアプローチできるサービス>
大学にアプローチする
学生団体と比較すると難易度は高くなるかもしれませんが、大学の協力を取り付けることができれば、そこの学生に対して強力なプロモーションを実施することが可能になります。例えば、自動車教習所や旅行会社が大学生協と連携して、フリーペーパー(ラック広告)などを設置してもらっている事例などがあります。
学生向けマーケティングを行うための手段
実際に調査やプロモーションに協力してくれる学生を探すことは、そう簡単なことではありません。自分たちだけで、連携をしてくれる学生個人や団体にアポイントを取るとなると、担当者の負担は大きくなってしまうでしょう。
ガクセイ協賛は、800大学8,000学生団体(2021年11月現在)が利用する協賛プラットフォームです。上記に挙げた学生団体へのアプローチはもちろんのこと、大学生向けのプロモーションやアンケート収集などのお手伝いをしています。
学生向けマーケティングの実施を検討されている方は、ぜひお気軽のご相談ください。
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