ビジネスにおいて「広告」を打ち出すことは重要なアクションです。一口に広告といってもさまざまな種類がありますが、その中の1つに「デジタルサイネージ広告」と呼ばれるものがあります。本記事では、デジタルサイネージ広告の基本的なことから、活用例まで解説します。
デジタルサイネージ広告とは?
ディスプレイなどの電子的な表示機器を用いて情報発信するメディアのことを、総称して 「デジタルサイネージ」と呼び、そこに出稿される広告のことを「デジタルサイネージ広告」といいます。
イメージしやすい例を挙げると、駅構内や屋外などでよく見かけるデジタルな広告がデジタルサイネージ広告です。駅構内の他にも首都圏を中心とした大型商業施設などでも見かける機会が多いでしょう。
デジタルサイネージ広告の種類
デジタルサイネージ広告は、さらに細かく分類すると以下の3種類に分けることができます。
- 交通広告
- 屋外広告
- 店内広告
真っ先に想像するのは、「駅構内」の他にある交通広告です。「交通広告」は、駅構内や電車内に掲示されるものが多いですが、昨今ではバスやタクシーにも活用の場が広がっており、交通手段を用いる際にさまざまな場面で目にする機会が多いです。
「屋外広告」は、商業施設などの店舗壁面に掲載する広告であり、その近くを通る通行人に対して効果的にプロモーションすることができます。
「店内広告」は、商業施設やコンビニエンスストアなどの店内に掲載される広告であり、野外広告とは逆にその商業施設の来店客に対してPRする広告です。
デジタルサイネージの傾向・市場規模
上述の通り、デジタルサイネージ広告は交通広告だけにとどまらず、屋外広告や店内広告にも広がり、最近ではコンビニのレジ上のモニターなどでも見ることができます。
日常に溶け込んだ広告となっているため、ハードルが高いものとして捉えず、積極的に活用していきたいところです。
市場規模も拡大しており、株式会社CARTA HOLDINGSが行った調査によると、2023年のデジタルサイネージ広告の市場規模は801億円と推測され、前年比の119%であり、コロナ禍前である2019年の764億円を超え、今後さらに上昇していくと予想されています。
※参考:マナミナ
デジタルサイネージ広告を出す目的
デジタルサイネージをどのように活用するかは、企業ごとに様々です。自社サービスのブランディングや認知拡大、商品の宣伝や来店の促進、キャンペーン告知、施設の案内、エンターテイメントと自由に目的を設定することができます。
デジタルサイネージ広告の配信方法の種類
オンライン型
┗インタラクティブ型
デジタルサイネージ広告の配信方法は、主に3種類に分けられます。
オフライン型は、USBやSDカードなどに動画ファイルを入れ、ディスプレイに差し込み配信するタイプです。ネットの回線速度に影響されず配信ができるため、遅延リスクなどがない点がメリットです。
オンライン型は、インターネットに接続しクラウドを介して広告を配信する方法です。遠隔操作ができる分、コンテンツの切り替えにかかる工数が少ない点が魅力です。
インタラクティブ型とはオンライン型の派生系であり、タッチパネルやAIが搭載されたデバイスで操作に合わせて適宜画面や案内が切り替わります。観光案内用のタッチパネルや、アパレル施設などに設置されたパーソナルカラーの判断をしてくれるデバイスなどが有名です。
デジタルサイネージの機器
┗マルチディスプレイ
┗3Dディスプレイ
┗電子端末・タブレット
┗マルチディスプレイ
┗3Dディスプレイ
┗電子端末・タブレット
大きな分類は、液晶画面とLED画面の2種類です。消費電力や本体の熱、画素数、目が疲れにくい、耐久性などの差があります。
そのほか、複数の画面が繋がり大画面となっているマルチディスプレイ型や、立体的な映像が放映できる3Dディスプレイ、商品棚に取り付けられる小さな電子POPなどの種類もあります。
電子端末とは専用端末やiPadなどを活用したデジタルサイネージです。売り場の一角などで商品の説明に関する広告(ナーチャリング目的)を流す際などで活用されます。
デジタルサイネージ広告の効果測定の方法
効果測定ができるかはデバイスの機能によるところが大きいです。センサー機能があれば、一定時間立ち止まる回数をユーザー数としてカウントできたり、インタラクティブ型であれば特定のアクション(クリック・スクロール)をカウントすることができます。
完全にオフライン型の場合は、店舗の利用者数や通行量から概算を出すことができます。
デジタルサイネージ広告の料金相場
デジタルサイネージ広告の料金は種類が多いこともあり、ピンキリです。ざっくりとした料金イメージですが、1箇所・1週間掲載した際の相場は以下の通りです。
・ビルについた大型ディスプレイ:10万円〜千数百万
・駅構内のディスプレイ:5万円〜数百万
・商業施設内のディスプレイ:5万円〜数十万円
・コンビニのレジ上ディスプレイ:100万円〜
※コンビニ1店舗のメニューが見つからなかったため、全国数万店舗での料金です
料金相場については「【2023】デジタルサイネージ広告の料金相場、導入費用を徹底解説」で詳細に解説しているので、こちらをご覧ください。
デジタルサイネージ広告のメリット【従来との違い】
冒頭でも触れていますが、一口に「広告」といっても、さまざまなタイプが存在します。デジタルサイネージ広告は比較的新しいタイプの広告手法ですが、従来の広告手法とはどのように異なるのでしょうか。
動画コンテンツを掲載できる
デジタルサイネージ広告の大きなメリットは、静止画の広告だけでなく、動画やスライドでの広告も出稿できる点にあります。広告の前を通るわずかな時間でも、消費者に対してストレスを感じさせることなく、より多くの情報を提供することが可能です。
一方で、従来型のポスターや看板での広告の場合は、仮にインパクト性があったとしても、情報量としては静止画1ページに記載できるだけの内容に限定されてしまいます。情報量やインパクト、ストレスフリーの観点において、動画コンテンツのほうがメリットが大きいのです。
音声による訴求ができる
デジタルサイネージ広告は、静止画や静音動画だけでなく、音声付きの動画コンテンツを配信することができます。動画による視覚への訴えかけだけでなく、音声による聴覚への訴求も同時に可能なのです。
従来のアナログな広告では、やろうと思えば可能かもしれませんが、基本的には静止画による視覚への限定的な訴求効果しか期待できません。視覚+聴覚という二重の訴求効果が期待できるほうが、広告としては高いコストパフォーマンスを発揮するのです。
時間単位で掲載切り替えができる
従来型のポスターや看板は、設置などの手間を考慮するとそう頻繁に掲載内容を変更ことは、あまり現実的ではありません。そのため、短くても数日間など日数の単位で契約するのが、従来型の広告の主流だったのです。1日の時間ごとに広告を変えるなんて手法は、よほどのことがない限り用いられることはないでしょう。
一方で、デジタルサイネージ広告は内容変更が簡単であり、視聴者層を考慮した配信時間の調整ができます。例えば「朝の通勤時には、ビジネスマンをターゲットにした広告」「昼間は、主婦やファミリー層が興味を持ちそうな広告」「夕方は、帰宅する学生向けの広告」といったように、時間帯ごとに表示する広告を切り替えることで、より効果的な広告効果を期待できるのです。
価値・信頼性が向上する
デジタルサイネージ広告は大型のものが多く、大きな広告を出すこと自体が商品価値と信頼性の向上に繋がると期待できます。
ターゲットに適した場所に出稿できる
現在デジタルサイネージ広告は普及が進んでおり、様々な施設で目にすることができます。
そのため、自社サービスのターゲットとなる属性に合わせて、広告を出稿する施設を選ぶことができます。
看板やポスター広告もある程度場所を選ぶことはできるため、デジタルサイネージ広告ならではの特徴とは言えませんが、テレビCMなど不特定多数をの対象とした広告よりも属性を絞り込むことはできるでしょう。
デジタルサイネージ広告のデメリット【従来との違い】
さまざまなメリットがある一方で、デジタルサイネージ広告にはいくつかのデメリットもあることを念頭に置く必要があります。
コンテンツ制作に費用がかかる
1つ目のデメリットは「コンテンツの制作などに費用がかかってしまう」ことです。
静止画コンテンツと比較すると、動画コンテンツはどうしても制作費用がかさんでしまいます。もちろん、費用対効果を考慮すればメリットが勝るケースも多いですが、広告費として投入できる予算が限られていると、デジタルサイネージ広告の出稿は慎重に検討する必要があるのです。
また、駅などの交通機関など、他社の媒体に対して広告を出稿するのではなく、自分たちの店舗で表示したいとしましょう。すると、ディスプレイの設置やインターネット接続などにも費用がかかるため、とくに初期費用がかさんでしまうだけでなく、広告費の代わりにランニングコストがかかってしまいます。
故障のリスクがある
デジタルサイネージ広告は、ディスプレイなどのデジタルな媒体に広告を表示します。この手の機械にはどうしても避けられないのが「機械の故障」です。広告を表示する機械が故障してしまったら、修理できるまでは広告を表示することはできません。
もちろん、従来の広告もポスターや看板の破損というリスクはあります。しかし、従来型の広告の媒体と比較すると、デジタルな媒体は修理コストや修理期間がかさんでしまいやすいというデメリットを無視できません。とくに自社や自店にディスプレイを設置するとなれば、復旧のために相応のコストを支払うことを覚悟しなければならないでしょう。
実際にデジタルサイネージ広告が活用されたケース
最後に、実際にデジタルサイネージ広告が活用されている事例をいくつか紹介します。
電車の液晶モニター
「電車」のドア上部の液晶モニターを利用したデジタルサイネージ広告は、視認性の高さや乗客への効果的なアピールといったメリットが期待できます。また、駅では構内壁面や柱などにデジタルサイネージ広告を設置することが可能です。
このタイプのデジタルサイネージ広告は「通学中の学生」や「通勤中のビジネスマン」といったターゲット層に対して、特に効果的だといえます。また、路線によっては他のターゲット層に対しても十分に訴求できるため、さまざまなビジネスにおいてデジタルサイネージ広告を利用する余地があるといえるでしょう。
ショッピングモールの外壁・柱
「ショッピングモール」の外壁や柱を利用したデジタルサイネージ広告は、その施設の立地にもよりますが往来の消費者に対して幅広く広告を打ち出すことができます。例えば「オフィス街」であればビジネスマンに、「近隣に大手の大学がある」のであれば学生にアピールすることができるでしょう。
もちろん、ショッピングモールの顧客に対してもアピールすることができるため、時間帯による広告表示の変更が効果的になる場面も多くなります。しっかりとマーケティングを行い、時間帯ごとにどういったターゲット層が多くその広告を目にすることになるのかを把握したうえで、より効果的な広告出稿を行うことをおすすめします。
ビルボード
「ビルボード」のデジタルサイネージ広告は、屋外広告の中でも特に大型ビジョンで効果的に、歩行者や車利用者などに対して幅広い訴求ができます。特に交差点などに立地している場合、信号待ちの時間に目に入る可能性が高く、一方で繁華街に位置する場合は買い物客をメインターゲットとして広告を配信できます。
立地によってどういったターゲット層に対して訴求効果が高いのかは大きく異なります。こちらの場合も事前にマーケティングをしっかりと行い、どの時間帯であればどういった通行人が多く、どのタイプの広告を打ち出せばより効果的に広告効果を実感できるのかを把握したうえで、出稿する広告を厳選することをおすすめします。
フィットネスジム
「フィットネスジム」の場合であれば、壁面にデジタルサイネージ広告を設置することができます。そのジムの宣伝を行うだけでなく、スポーツ飲料やサプリメント、シューズやウェア、美容商品といった、フィットネスジムの利用者が興味関心を持ちやすい商品の広告を配信することで、効果的なターゲット層を有効活用することが可能です。
また、フィットネスジムの利用者がどういった客層が多いのかに注目することも重要です。例えば「女性専用のフィットネスジム」であれば、美容関連の商品が効果的でしょう。一方で男性客が多いのであれば、スポーツ飲料やサプリメント、健康食品などが効果的である可能性が高いです。
大学生協、食堂、校舎内
「大学生協」や大学構内にデジタルサイネージ広告を設置することで、学生に対して集中的なプロモーションを行うことができます。学生向けの新商品の情報やクレジットカード加入に関する情報、お部屋探し情報など学生が興味関心を持ちやすい商品やサービスに関する広告を打ち出すことで、高い広告効果を期待できるでしょう。
なお、学生をターゲットにしてプロモーションを行いたいのであれば、デジタルサイネージ広告の他にも「ガクセイ協賛」のようなプラットフォームを利用することもおすすめです。学生にむけた商品PRなどに興味がある方はぜひご相談ください。
喫煙所
「喫煙所」のデジタルサイネージ広告は、社会人向けの新製品や、喫煙器具のプロモーションなどが効果的でしょう。喫煙所の利用者に集中的にプロモーションを行うため、喫煙により阻害される健康効果に対する健康食品や健康器具などの広告も効果的かもしれません。
一方で、喫煙しないターゲット層に対しては、一切の広告効果を発揮することはありません。そのため、美容や学生向けの商品に関する広告は、出稿してもそれほど注目されることはないでしょう。喫煙者にターゲット層を絞った、効果的な広告宣伝効果をうまく活用する必要があります。
コンビニ
最近ではコンビニエンスストアもデジタルサイネージを積極的に取り入れています。コンビニとしてもレジ待ち時間(顧客ストレス)の軽減や、新たな店舗体験といったメリットが豊富にあるためです。
レジ上部などに設置されていることが多く、店内で取り扱っている商品のPR映像、ニュース、クイズ、音楽、バラエティ、地域のイベントなどが表示されています。
サービスや商品によっては、地域のコンビニエンスストアと連携するのも面白いでしょう。
タクシー
前部座席の後ろにタブレット型のモニターを設置して、広告を放映できるようにしているタクシーが増えています。
ビジネスマンや役職者、富裕層などタクシーを利用する属性に合わせてターゲットを絞ることができるため、サービスや商品とのマッチ度合いによってはタクシー広告を活用してみるのもいいでしょう。
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